講演情報
[SY3-03]心理学と社会学との協働によるフライトナースの実践能力の向上への取り組み
*髙橋 誠一1、*土屋 守克2 (1. 埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター・看護部、2. 日本医療科学大学 保健医療学部 看護学科)
埼玉県ドクターヘリは2007年から運航を開始した。発表者は、運航開始からドクターヘリの運用に携わり、フライトナースの教育に力を注いできた。当初は、フライトナースのプレホスピタル活動における実践能力を高めるため、フライトナースによる定期的な会議において、活動記録や記憶をもとに事例の振り返りをしていた。しかし、事例の報告内容は主観や記憶能力の影響が大きく、経験が浅いフライトナースでは患者の状態や治療内容を漏れ無く報告することは困難であった。そのため、認定指導者フライトナースが事例内容を細かく確認しないと問題点が明らかとならなかった。このようなフライトナースの教育方法では、プレホスピタルでの実践能力を高めるのに限界があった。その後2012年に、心理学の一分野である行動分析学を専門とする故 坂上貴之先生(前日本心理学会理事長/慶應義塾大学 名誉教授)に出会った。坂上先生と検討を重ねる中で、プレホスピタル活動の記録の補完材料として、フライトナースの胸部に装着したウェアラブルカメラで撮影した動画を、プレホスピタル活動の客観的な評価方法として活用するに至った。その結果、プレホスピタル活動における問題点だけでなく、実施できている内容を把握できたことで、フライトナースの教育における動画の有用性が明らかになった。さらに、フライトナースだけでなく、救急隊の視点や活動の理解、会話内容の質的な分析の必要性を感じ、社会学における方法論の一つであるエスノメソドロジーを専門とする池谷のぞみ先生(慶應義塾大学文学部図書館・情報学専攻 教授)や松永伸太朗先生(長野大学企業情報学部企業情報学科 准教授)と協働している。このようなプレホスピタル活動における多職連携場面の分析によって会話の意味や機能、相互作用などを理解し、フライトナースの教育に活用することで、さるなる実践能力の向上が期待できる。
