講演情報
[SY4-基調講演]能登半島地震における医療福祉支援活動とDMATの役割
*近藤 久禎1 (1. 国立病院機構本部DMAT事務局)
災害において、被害の根本原因であり、最大の介入点となるものを災害の本質と呼ぶ。本災害の本質は、甚大な被害のある地域の孤立、そして高齢化率の高い地域の被災であった。甚大な被害のある地域の孤立により、要医療者(外傷、透析等)の医療アクセス困難、補給の大幅な制限の中、病院・社会福祉施設・避難所での最低限の環境の改善は遅延し、支援者の生活環境確保困難により支援の制限をきたした。この地域に存在する医療・福祉機関の数は限られるものの迅速な支援が困難な「狭いけど深い」災害であった。また、高齢化率の高い地域の被災であったため、単に命を長らえさせることのみを目的とするとかえって多くの悲劇を生む、防ぎえる死亡だけでなく悲劇の低減が課題となった。また、限界集落を多く抱える地域での復興の目標設定の困難であった。医療福祉活動としては、病院・社会福祉施設・避難所において、まず.外傷、透析患者等要緊急医療者の初期診療、搬送、それと同時に飲料水、食料、暖房環境といった人間が生きていくうえで被災地内最低限環境確保と、それでも被災地内での生活に耐ええない方の広域避難搬送を行った。前者は7日間、後者は病院、施設の最低限環境確保に11日間、避難搬送は、病院・施設合わせて約1600名の患者搬送を19日間かけて解決した。その次に継続可能な保健医療福祉体制の確立のために、石川県内の病院・施設・診療所に対して物資、人的支援を中心とした機能維持支援した。そのめどが立った2月以降は、地域の保健医療福祉体制の復旧も目的として施設復旧ステップの明示、活用できる資金の整理、会議体の設置などの活動を行った。DMATとしては従来の災害、新型コロナでの経験を活かせる災害であった。DMATの役割が医療福祉の指揮系統を担い、実活動としては病院、施設、プライマリケアの支援体制が整うまで何でもカバーすることが必要であることが再確認された。
