企画セッション講師からのショートメッセージ
ご講演される講師からいただきましたセッション内容に関するショートメッセージです(一部、動画リンク)。
ご参加の参考にご活用ください。
- 基調講演(6月5日金曜日 9:00~10:00 第1会場)
「AEDを通じて考える、医療機器の真の実用化」
本間 洋輔(千葉市立海浜病院・救急科統括部長、 NPO法人ちば救命・AED普及研究会・理事長)
AEDによる救命率向上のためには、AEDが「置いてある」だけでは不十分で、「知られ、使われる」ことが必要である。例えば、AEDの内部データを活用すれば設置場所の最適化やフィードバックが可能になり、位置情報の共有ができればアプリでのAED検索や救命ボランティア通知システムとの連携も可能になる。また、緊急時対応計画(EAP)をAED導入とセットで展開することで、組織レベルでの使用率改善が望める。さらに、著名人と連携した啓発活動が市民の心理的障壁を下げ、救命率の向上にもつながる。
医療機器の実用化は、機器の性能が完成した時点では終わらない。社会インフラと連携し、市民が使いたくなる仕組みまで含めて設計することが求められる。 - 理事長講演(6月6日土曜日 9:00~9:20 第1会場)
「明日の日本を支える存在になろう:サイコウの学会を目指して」
深柄 和彦(東京大学医学部附属病院 手術部・教授、部長)
理事長を拝命して早1年が経ちました。
設立100年を超えるこの学会にできることは何か、すべきことは何かを、役員・委員のみなさまと話し合ってきました。
「理事長が言うようなこと、現実的でないですよ」と言われることも多かったのですが、学会のビジョンを以下のように作り上げ示しています。
夢に向けて、みなさんが、日本国民が幸せになるよう、みんなで力を合わせていきましょう! - 招請講演1(6月5日金曜日 13:10~14:10 第1会場)
「医療機器業界を取り巻く環境と医療機器メーカが取り組むべき課題」
大竹 真由美(㈱みずほ銀行 産業調査部 次世代インフラ・サービス室 戦略プロジェクトチーム・シニアアナリスト)
医療・介護需要の増大と人材不足を背景に、医療業界では構造改革と役割分担が求められています。本講演では、AI問診・オンライン診療、POCT、モバイル診断、DTx(デジタル治療)、ロボティクスなどの技術が、病棟・外来・手術室・在宅におけるワークフローやチーム医療をどのように変えるのかを俯瞰します。また、医療従事者、事業者がデータを軸に連携し、ワークフローを効率化させるためのポイント、日本発のソリューションを世界に展開するための方策を考察します。 - 招請講演2(6月5日金曜日 14:50~15:30 第2会場)
「令和8年度診療報酬改定を踏まえ 急性期病院を取り巻く現状とこれから」
井上 貴裕(千葉大学医学部附属病院・副病院長、病院経営管理学研究センター長・特任教授、ちば医経塾・塾長)
令和8年度診療報酬改定は本体が3.09%のプラス改定となり、物価高騰等で苦戦する病院に配慮がありました。しかしながら、急性期、特に高度急性期病院の財務状況は極めて厳しく、この改定率をもってしても収支状況の安定にはほど遠いという医療機関も存在するものと予想します。
診療報酬改定では、手術施設等の集約化を図るべく、機能分化と連携が支柱に据えられた内容が前面に押し出され、このことが地域医療に与える影響は甚大であると予想します。
本講演では、急性期病院を取り巻く環境についてデータを基に明らかにし、医療機器に関連する皆様に対して今後のあり方についての議論の素材を提供したいと思います。 - 招請講演6(6月6日土曜日 15:00~16:00 第2会場)
「吸収分光法と数値流体力学(CFD)を用いた、医療機器の内腔内の蒸気量の評価」(動画リンク)
Simon Pletzer PhD.(Graz University of Technology, Institute of Thermal Engineering) - 特別講演1(6月5日金曜日 13:10~14:10 第2会場)
「あなたもなれるロボット手術コーディネーター」(動画リンク)
渡邊 祐介(藤田医科大学 先端ロボット・内視鏡手術学講座・准教授
/北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構・特任講師) - 特別講演1(6月6日土曜日 10:00~11:00 第1会場)
「ロボット支援医療の現在と未来〜米国での20年の研究経験から〜」
上田 淳(ジョージア工科大学機械工学科・教授、神戸大学医学部医療創成工学領域専攻・特命教授)
本講演では、米国での20年以上にわたる研究生活で培われた、バイオ・ロボティクスと人間モデリングを融合させたロボット支援医療の最新の知見をお伝えします 。見どころは、単なる自動化の追求にとどまらない「生理学的デジタルツイン」という次世代ヘルスケアの構想です 。これは、ロボット技術を用いて個々の患者の生体反応をリアルタイムで計測・予測し、精密な診断や個別化治療に繋げるアプローチです 。具体的な研究成果として、磁気共鳴画像(MRI)ガイド下での超精密ロボットや 、深層学習を用いた肝臓硬度計測の自動品質管理など 、人間の手技を補完し医療の質を飛躍的に向上させる実例を紹介します 。ここではロボットが単なる「道具」ではなく、人間と適応的に協調し、身体機能を拡張する存在であることが重要です 。米国での多様な研究教育の経験から得られた医療イノベーションの現状と 、日本が今後歩むべきこれからのロボット支援医療の技術開発と市場開拓についてお話しします。 - 教育講演1(6月5日金曜日 10:00~11:00 第1会場)
「医療デバイス応用に向けたDLC研究」
平栗 健二(東京電機大学・常務理事、統括副学長、教授)
-骨折治療に新たな可能性!-
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は炭素を主成分とし、高硬度・低摩擦・耐食性に優れ、生体適合性が高いことから医療用材料として注目されている。本研究では、骨形成を促す亜鉛(Zn)を添加したダイヤモンドライクカーボン(Zn-DLC)の効果をマウスにて検証した。その結果、Zn-DLCは生体内で亜鉛を放出し、骨形成促進傾向を示した。生体適合性と強度を併せ持つZn-DLCは、次世代の骨折治療用インプラントとして期待される。
「医療応用に向けたDLC研究の現況」(動画リンク)
馬目 佳信(東京電機大学・客員教授)
DLCはダイアモンドとグラファイトの両方の炭素-炭素結合を持つ薄膜の総称で、組成を変えることで材料の表面に耐久性や滑らかさなどを付加できるため、インプラントや手術用器具に利用されてきた。カテーテル・ガイドワイヤーでもDLCは表面を滑らかにすることで血管内への挿入をスムーズにし、低侵襲を実現した。次世代の医療機器開発における有望なアプローチである。この講演ではDLCの新たな医療デバイスへの実用化に向けて、特に生体を構成する細胞のDLC膜上での増殖や挙動、DLCに機能性を持たせる工夫について例を挙げて紹介する。 - 教育講演2(6月5日金曜日 11:00~12:00 第1会場)
「医療機器開発先駆者が残した哲学と生き方」
金平 栄二(メディカルトピア草加病院 外科・外科診療顧問、院長)
手術用ロボットやAI、高次元映像処理などの先端技術が手術室に導入され、日常になりつつある。その勢いに、これまで求められていた高難易度手技や経験に基づいた判断力などは、必要でなくなる時代が到来するかのように見える。加速度的に変化し続ける医療機器開発の嵐の中で、これからの外科医はどんなマインドを基軸に生きていくことになるのだろう。40年前に最先端低侵襲手術機器を自ら開発し、パイオニアの中のパイオニアと言われたドイツ人外科医が主張した言葉が蘇る。医療機器がどんなに進化を遂げても変わらないものがあると。40年前の彼の足跡と哲学を掘り起こし、今の時代に重ね、私の言葉で綴りたい。 - 教育講演3(6月5日金曜日 15:30~17:00 第2会場)
「医療機器学という研究を再考する」
西村 ユミ(東京都立大学健康福祉学部看護学科/人間健康科学研究科 看護科学域・副学長、教授)
医療機器学は、機器のみならず、人間と機器との関係にも注目します。私は看護学を専門としていますが、哲学を取り入れて、人間の経験や行為の仕方を研究しています。その中には、物=機器との関係も含まれます。機械と人間、看護学と哲学には、一見距離がありそうですが、私にとっては、この両者をつなぐことが研究です。
研究は、具体的な現場での“疑問”をもとに、それに何とか応えようと試行錯誤し、新しい発見をする道筋とその成果が含まれます。それには、既存の価値観や枠組みを超えることも必要です。日頃の疑問から研究へ、そのマインドについて一緒に再考いたしましょう。
橋本 悟(㈱テクロス 代表取締役)
本講演では、日常業務の中に潜む違和感や課題を出発点とし、それらを研究へと昇華させる姿勢の重要性を提起する。ガイドラインやマニュアル化が進む現代医療は安全を支える一方で、思考停止を招く危険も抱える。標準化に依拠するだけでは新たな価値は生まれない。現場で生じる問いを問い続ける研究マインドこそが、医療の質向上とイノベーション創出の原動力である。本講演を通じて、医療従事者と企業が使命に立ち返り、挑戦を継続する意義を共有したい。 - 教育講演4(6月6日土曜日 14:50~15:30 第1会場)
「AIによる最適な医療機器選択で実現する次世代スマート物流プラットフォームの社会実装」
竹下 康平(東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究部 ・講師、㈱NiDUS・代表取締役)
円安・供給制約・物流人材不足が重なる中、医療機器の安定供給は医療提供体制の基盤として重要性を増しています。手術準備の持ち込み在庫、直前確認、棚卸負担などは、医療機器の需給変動と情報非対称が生む現場課題です。
医療機器物流の効率化と社会実装の条件について検討ポイントは、医療機関・流通・物流にまたがる情報断絶、手配漏れや過剰在庫、緊急配送の増加につながる構造の整理です。また、診療報酬による公定価格とインフレへの対応にも言及します。 - 教育講演8(6月6日土曜日 15:30~15:55 第3会場)
「医療機器情報コミュニケーター(MDIC)認定制度の変遷・制度改革とその意義、将来展望」
臼杵 尚志(香川大学医学部地域医療再生医学講座・客員教授、MDIC認定委員会委員長)
医療機器の急速な進化に呼応して生まれたMDIC認定制度は、セミナーや試験のon-line化、試験制度の改変を経て実務的人材の資格取得環境を整えてきたが、資格者による自院担当を望む医療機関の声から有資格情報の開示やさらなる上級資格(Expert MDIC)の認定を新たに開始した。今後予定しているさらなる広報活動に向けて、多くのMDIC・Expert MDIC有資格者の方々や医療機関の方々から本セッションを通じて様々なご意見がいただけることを期待している。 - パネルディスカッション(6月6日土曜日 15:30~16:55 第1会場)
「日本の内視鏡の再生処理は世界に遅れているのか?―国際比較から見る課題―」
本パネルディスカッションでは、欧米ガイドラインを参照しながら、日本の現場で行われている再生処理の実際を共有する。ベッドサイド洗浄、マニュアル洗浄、搬送、トレーサビリティー、洗浄消毒バリデーション、保管乾燥の6項目を軸に、医師、看護師、臨床工学技士、メーカーなど多職種の視点から議論する。内視鏡に関わる方はもちろん、これから関わる方や関心のある方とともに、再生処理の重要性と可能性を考えたい。
