講演情報

[JRSS-01]鑑別評価に役立つ統計学的指標の理解ー疼痛の鑑別評価ー

重藤 隼人 (京都橘大学 健康科学部 理学療法学科)
<略歴>
2008年 独立行政法人国立病院機構呉医療センター附属リハビリテーシ
    ョン学院  理学療法学科 卒業
2021年 畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程 修了
2021年 京都橘大学 健康科学部 理学療法学科 助教 着任
2021年 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
     客員研究員 着任
<関連資格>
徒手理学療法認定理学療法士・運動器認定理学療法士
運動器徒手理学療法認定士(Orthopaedic Manual Physical Therapists)       
<学術研究業績>
第12回日本筋骨格系徒手理学療法研究会学術大会 優秀賞
第26回日本ペインリハビリテーション学会学術大会 奨励賞
第20回香川県理学療法士学会 奨励賞
重藤 隼人(編).『疼痛リハビリテーション 病態メカニズム・モデルに基づく評価・治療戦略』.メジカルビュー社,2025年刊行                   
<関連領域社会活動>
日本筋骨格系徒手理学療法研究会 理事
日本ペインリハビリテーション学会 理事
徒手理学療法領域において、治療介入の意思決定のために病態の鑑別評価は重要であり、特に疼痛の鑑別評価が臨床場面で多く実践されている。臨床場面ではさまざまな評価を用いて、特定の問診および整形外科的テストなどの陽性・陰性、質問紙評価ツールでのカットオフ値の該当・非該当という評価結果が得られると想定される。その際に、鑑別評価における解釈として、特定の病態である・特定の病態ではないという確定・除外の解釈が重要となる。特定の病態の有無および各種検査の陽性・陰性の結果から考えると、4パターンの対象者が存在し、各検査における病態の検出力指標として、感度・特異度とよばれる統計学的指標を算出することができる。また、検査結果によって病態の可能性がどの程度高まる、あるいは低下するかを示す指標として、陽性尤度比・陰性尤度比とよばれる統計学的指標もあり、検査結果の陽性・陰性の結果と統合して解釈することで、病態の確定・除外をどの程度指示するかという視点で、臨床推論に活用することができる。質問紙評価ツールでは、カットオフ値や重症度判定の指標値などの報告がある評価ツールを活用する場合に、確定・除外どちらに有用である評価ツールであるのか、評価ツールの識別能を示す精度指標(例:Area Under The Curve:AUC)も考慮した上で、活用することが重要である。特異度・感度・尤度比、カットオフ値などの統計学的指標は、先行研究での対象者の属性によっても影響されることから、先行研究でどのような対象者に対して算出した指標であるかを考慮するとともに、臨床場面での対象者の属性・既往歴および評価結果と合わせて、総合的に判断することが必要となる。本講演では、鑑別評価に役立つ統計学的指標について一部理論的背景を概説するとともに、臨床現場で活用することができる疼痛の鑑別評価について侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・痛覚変調性疼痛で活用されている評価項目を紹介するとともに、統計学的指標をどのように活用すべきかという視点に基づいて概説する。