講演情報

[KSY4_01]急性期と回復期をつなぐ情報連携の現状と課題〜シームレスな情報共有の構築に向けて〜

金村 陸朋 (社会医療法人清仁会 シミズ病院 リハビリテーション科)
略歴(主な学歴・職歴)
2019年 大阪医専 理学療法学科 卒業
2019年 医療法人 清仁会 洛西シミズ病院入職
2022年 シミズ病院異動
関連資格
3学会合同呼吸療法認定士
急性期ケア専門士
 昨今、医療の高度化と在院日数の短縮に伴い、急性期病院から回復期病院へのシームレスな連携の重要性が一層高まっている。リハビリテーションにおいても、急性期で得られた評価や介入内容を回復期へ正確に引き継ぐことは、患者のリハビリテーションの継続に必要不可欠である。しかし現場では、申し送り内容のばらつき、記録内容の活用不足といった課題が散見される。その結果、急性期での取り組みが回復期へ効果的に接続されず、リハビリテーションの一貫性と効率性が損なわれることで、患者の最適な機能回復の機会を逃してしまうという問題が生じている。
 急性期は生命維持と全身管理が中心である一方、回復期は活動および社会参加の拡大を主目的とする。この役割の違いから、疾患名やADLの状況だけでなく、発症からの経過、離床時のリスク、循環・呼吸状態の変化、疼痛や高次脳機能障害の特徴、介助方法、患者・家族背景、患者の希望や価値観、患者と共有した目標設定など、多面的な情報共有が求められる。これらの情報が不足すると、回復期での再評価や介入のやり直しが生じ、患者に不利益をもたらすだけでなく、回復の遅延にも直結しかねない。
 申し送りの本質は、単なる情報伝達ではなく、病期が変わっても患者が不利益を被ることなく、必要なリハビリテーションを継続して受けられる環境を構築することにある。そのためには、介入結果だけでなく、その情報の選択理由や経過といった臨床判断のプロセスを共有することが極めて重要である。同時に、急性期と回復期で異なる役割や視点を互いに理解し合う姿勢も不可欠である。
 本シンポジウムでは、症例提示をしながら、急性期および回復期それぞれの立場から、有用だった情報、不足していた情報、共有不足が患者に与える影響を提示し、患者中心の情報連携の在り方を検討する。あわせて、カルテや地域連携パスなどでは伝達しきれない定性的な情報の扱い、多職種連携の工夫、申し送りのコア項目を設けるなどの施設間で実践可能な申し送りの標準化についても議論を深める。
 患者にとって回復期への転院は医療機関の変更にすぎず、リハビリテーションが途切れる理由にはならない。患者中心の情報共有を実践することは、治療の質を維持し、その人らしい生活の再獲得を支える基盤となり患者へのEmpoweringへと繋がる。本シンポジウムが、シームレスな連携の在り方を再考する契機となることを期待する。