講演情報

[KSY1_01]多方面から考える認知症・認知機能低下予防戦略の現在地と未来

西本 和平 (京都橘大学 健康科学部 理学療法学科)
略歴(主な学歴・職歴)
【学歴】
2015年 森ノ宮医療大学 保健医療学部 理学療法学科 卒業
2020年 京都橘大学大学院 健康科学研究科 修了(健康科学修士)
2025年 信州大学大学院 総合医理工学研究科 医学系専攻 修了(医学博士)
【職歴】
2015年~ JCHO星ヶ丘医療センター リハビリテーション部 理学療法士
2021年~ 国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター, 予防老年学研究部 特任研究員
2024年~ 京都橘大学 健康科学部 理学療法学科 助教, 国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター, 予防老年学研究部 外来研究員
 1901年にAlzheimer博士が後にアルツハイマー病と呼ばれる症例を初めて診察して以降、認知症に関する研究は発展を続けてきた。はじめは“痴呆症”と呼ばれていた病態は、2004年に“認知症”へと名称変更され、疾患そのものだけでなく、認知症の人への理解や社会的支援の重要性にも着目されるようになった。近年では、2023年および2024年に約10年ぶりとなる新薬(レカネマブ、ドナネマブ)が承認され、認知症への関心は高まっている。2024年より「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、我々は“認知症に対する予防法も含めた正しい知識”と“認知症の人に関する理解”を深めることが求められている。また、2026年度診療報酬改定では、回復期リハ入院料1および、新たに回復期リハビリテーション強化体制加算算定のための実績指数の引き上げに加えて、認知症ケア加算に関して評価の充実が図られた。これらの社会的・制度的変化を背景に、医療現場においては多職種と協働し認知機能の維持・改善への取り組みが、地域においては認知症を理解し認知症の人たちが楽しく継続でき、高齢者が更に元気よく暮らすための教室や居場所づくりがそれぞれ課題となっている。FINGER研究や本邦のJ-MINT研究で示されているように、認知機能低下の予防には運動単独ではなく、多面的な生活習慣への介入が有効であることが明らかとなっている。そのため、我々は運動療法のみならず、知的活動や社会参加、栄養管理を含めた非薬物療法の視点から認知機能低下予防については考えていく必要がある。
 本シンポジウムでは、病院内における戦略、地域における戦略、認知機能低下の早期発見と予防の戦略をテーマに、各分野で実践を重ねる3名のシンポジストに登壇いただく。病院・地域・研究のそれぞれの立場から現状の取り組みや今後の展望について具体例を交えながら紹介する。本シンポジウムがきっかけとなり、認知症・認知機能低下に対する理解を深めるとともに、理学療法士が果たすべき役割や今後求められる実践について議論し、共生社会の実現にむけた視点を共有する場となることを期待する。