講演情報

[KSY1_02]院内で認知機能低下を予防するための戦略

松本 拓也 (JCHO星ヶ丘医療センター リハビリテーション部)
略歴(主な学歴・職歴)
【職歴】
2017年  兵庫医療大学 リハビリテーション学部 理学療法学科(現 兵庫医科大学 リハビリテーション学部) 卒業
2017年~ JCHO星ヶ丘医療センター リハビリテーション部 入職           
【関連資格】
・認定理学療法士(脳卒中)    
【業績】
・松本拓也, 植田耕造, 西本和平. 可変的な中高強度の歩行練習により一定の歩行機能の改善を得た亜急性期脳卒中後症例. 神経理学療法学. 3 (1). 2023
 2026年度診療報酬改定における回復期リハビリテーション病棟の実績指数の引上げや高次脳機能障害患者の追加などから、認知症や認知機能低下患者が回復期病棟へ入棟することが予測される。このことから、高次脳機能障害を含む認知機能への働きかけは、患者の活動性向上やリハビリテーションへの参加を促し、運動機能の回復を最大化するため、我々にとって不可欠な戦略となっている。
 本来、入院生活は疾病治療を目的とするが、環境の変化や社会的役割の喪失、活動機会の減少といった患者の心身機能を低下させる多くの障壁を含んでいる。一人の人間としての尊厳を守り、入院後も能力を最大限に発揮できるよう支援し続けることが共生社会の実現に向けた理学療法士の役割であると考える。そのため、当院では認知機能低下を予防するための戦略として、身体活動・知的活動・社会活動という三つの活動を軸に多角的なアプローチを実践している。身体活動面においては、リハビリテーション時間外も含めたあらゆる場面を離床の機会と捉え、病棟生活そのものをリハビリテーションの場として活用することで身体活動量の維持を図っており、トイレ・入浴の歩行移動や多職種・家族と連携した自主練習を推進している。知的活動では個人の趣味嗜好に合わせた課題提供により知的刺激の促進を図り、社会活動においては、レクリエーション等を通じて他者交流と社会性の維持を図っている。
 これらの実践を実効性のあるものとするためには、身体拘束の最小化が前提条件となる。2026年度診療報酬改定において身体的拘束を最小化する体制を整備するよう提言がなされた。身体拘束はADL低下や精神的苦痛に加え、活動機会や社会的交流の減少を招き、認知機能低下を助長する可能性があるため、当院では離床センサーや衝撃緩衝マット等を活用しながら、“安全の確保”と“自由な活動の保証”という相反する課題の両立を目指している。
 本シンポジウムでは、これら多角的なアプローチについて、当院で実践している具体例を提示しながら、臨床現場における課題や可能性についてディスカッションを行いたい。