講演情報

[JO1-01]ストレッチ強度の差異によるリラクゼーションにおける脳活動および自律神経活動の経時的変化

*水野 裕仁1、今川 直人2、中田 伊吹3、兒玉 隆之4、宮﨑 純弥4、重藤 隼人4 (1. かさはら医院、2. 滋賀医科大学医学部附属病院、3. 苑田会人工関節センター病院、4. 京都橘大学)

キーワード:

ストレッチ、脳活動、自律神経活動

【はじめに、目的】
ストレッチは関節可動域やパフォーマンスの向上に加え、リラクゼーション効果が期待される。ストレッチ強度の指標としてPoint of Discomfort(POD)が知られている。我々は、以前にストレッチ強度の違いが脳活動と自律神経活動に影響することを報告した(Imagawa et al, 2023)。しかし、快情動、脳波活動および自律神経活動の経時的関連は十分に明らかではない。本研究では、ストレッチ強度別の快情動、脳波活動および自律神経活動の経時的関連を探索的に検討した。
【方法】
対象は健常若年者19名(20.7±0.6歳)とした。PODに基づき、低強度(NRS0–1)および高強度(NRS3–4)の2条件を設定し、washout期間を2日間としたクロスオーバーデザインで実施した。脳波・容積脈波装着下でストレッチは120秒間施行し、試行間に30秒の休止時間を設け、各条件は5試行実施した。快情動は各試行後にVisual Analog Scale(VAS)で評価した。脳波・容積脈波はウェーブレット解析による周波数解析を実施した。脳波測定部位はFp1、Fp2とし、α波帯域、β波帯域のパワー値、α/β比を算出した。容積脈波は、低周波成分(LF)、高周波成分(HF)およびLF/HF比を算出した。統計解析には反復測定相関分析を用い、ストレッチ強度別にストレッチ相・休止相における各指標間の同一試行内の関連および次試行の指標との試行間関連により経時的関連を検討した。有意水準は5%とした。
【結果】
低強度条件では、ストレッチ相のFp1(r = -0.34)およびFp2(r = -0.45)のα波パワー値が同一試行VASと負の関連を示し、快情動が高い試行ほど前頭部α波パワー値は低値傾向を示した。また、休止相Fp2 α波(r = -0.38)・β波(r = -0.28)、LF/HF比(r = -0.30)が低い試行ほど次試行のVASが高い傾向を示す経時的関連が認められた。一方、高強度条件では脳波指標と同一試行VASとの経時的関連性は認められなかったが、ストレッチ相LFが高い試行ほど次試行でのストレッチ相Fp1 α/β比が高い傾向(r = 0.38)を示す経時的関連が認められた。
【結論】
低強度条件では快情動と前頭部脳波活動との関連が認められ、心地よさを伴うストレッチ反応を反映している可能性がある。また、負の情動の脳波活動や交感神経優位の活動が抑制されているほど次試行における快情動反応を惹起することが示唆された。一方、高強度条件では快情動との直接的関連性は低いが、自律神経活動と前頭部脳波活動との経時的関連が示唆された。神経内臓統合モデル(Thayer, 2009)では心拍数を調整する中枢性自律神経ネットワークが提唱されており、本研究ではストレッチ強度の違いが快情動、脳・自律神経活動の経時的相互作用に影響することが示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は京都橘大学倫理委員会の承認(承認番号:23-04)を得ており、対象者に口頭で本研究の趣旨を説明し、同意を得て実施した。