講演情報
[JO2-01]立脚期における大腿筋膜張筋過活動がランニング動作に及ぼす影響 レスポンダー群に着目した代償戦略
*石川 航大1、安彦 鉄平2、井上 流誠3、内 花菜4、浜村 優多5 (1. 種子島医療センター、2. 京都橘大学、3. 京都ルネス病院、4. 滋賀医科大学医学部附属病院、5. 大阪済生会吹田病院)
キーワード:
ランニング、大腿筋膜張筋、レスポンダー
【はじめに、目的】
ランニング関連障害の一つである腸脛靭帯炎は、中殿筋機能低下に伴う大腿筋膜張筋(TFL)の代償的な過活動が関与するとされている。TFLの過活動は局所的な負荷増大のみならず、体幹や骨盤を含めた全身的な運動制御へ影響を及ぼす可能性がある。しかし、ランニング動作中のTFLの過活動に関連したその他の筋活動および身体動揺の変化については十分に明らかにされていない。本研究の目的は、股関節外転筋疲労後にTFL過活動を呈する者における代償戦略を、各指標の変化率の関連から明らかにすることとした。
【方法】
対象は、健常若年男性14名とした。股関節外転筋疲労課題の前後にトレッドミル走行を実施し、右側の体幹・下肢9筋の表面筋電図および頸部、胸部、腰部、大腿部、下腿部の合成加速度を測定した。疲労課題前後における立脚期TFL筋活動量の変化量が、事前に算出した最小可検変化量を超えた11名をレスポンダー群と定義し、解析対象とした。ランニングの1周期を立脚期、遊脚初期、遊脚中期、遊脚終期に区分し、各筋活動量および合成加速度について疲労課題前後の変化率を算出した。統計学的解析は、立脚期のTFL筋活動量の変化率と各指標の変化率との関連をSpearman順位相関係数にて検討した。
【結果】
立脚期TFL筋活動量の変化率は、外腹斜筋の立脚期(ρ=0.709、p=0.015)および遊脚初期(ρ=0.691、p=0.019)、大腿直筋の遊脚中期(ρ=0.882、p<0.001)および遊脚終期(ρ=0.655、p=0.029)、中殿筋の遊脚終期(ρ=0.791、p=0.004)の筋活動量変化率と有意な正の相関を示した。また、大腿部合成加速度の変化率とは、立脚期(ρ=−0.655、p=0.029)および遊脚終期(ρ=−0.627、p=0.039)において有意な負の相関を示した。
【結論】
ランニング立脚期におけるTFL過活動は外腹斜筋との協調的活動による体幹・骨盤安定化戦略と関連していた。遊脚期には大腿直筋活動の増加および大腿部動揺の低下を伴い、遊脚終期には中殿筋のプレアクティベーションの増強を認めた。以上より、股関節外転筋疲労課題後のTFL過活動は股関節安定性の低下に対する代償的運動戦略を反映し、後続する立脚期に向けた中殿筋のプレアクティベーションを含む協調運動パターンの再編成と関連することが示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づいて実施した。対象者には研究の目的、方法および参加の自由について口頭および書面で説明し、十分な理解を得た上で同意を取得した。得られたデータは匿名化し、個人情報の保護に十分配慮した。本発表については、種子島医療センターの倫理審査の承認(承認番号:種倫R8-3号)を得た。
ランニング関連障害の一つである腸脛靭帯炎は、中殿筋機能低下に伴う大腿筋膜張筋(TFL)の代償的な過活動が関与するとされている。TFLの過活動は局所的な負荷増大のみならず、体幹や骨盤を含めた全身的な運動制御へ影響を及ぼす可能性がある。しかし、ランニング動作中のTFLの過活動に関連したその他の筋活動および身体動揺の変化については十分に明らかにされていない。本研究の目的は、股関節外転筋疲労後にTFL過活動を呈する者における代償戦略を、各指標の変化率の関連から明らかにすることとした。
【方法】
対象は、健常若年男性14名とした。股関節外転筋疲労課題の前後にトレッドミル走行を実施し、右側の体幹・下肢9筋の表面筋電図および頸部、胸部、腰部、大腿部、下腿部の合成加速度を測定した。疲労課題前後における立脚期TFL筋活動量の変化量が、事前に算出した最小可検変化量を超えた11名をレスポンダー群と定義し、解析対象とした。ランニングの1周期を立脚期、遊脚初期、遊脚中期、遊脚終期に区分し、各筋活動量および合成加速度について疲労課題前後の変化率を算出した。統計学的解析は、立脚期のTFL筋活動量の変化率と各指標の変化率との関連をSpearman順位相関係数にて検討した。
【結果】
立脚期TFL筋活動量の変化率は、外腹斜筋の立脚期(ρ=0.709、p=0.015)および遊脚初期(ρ=0.691、p=0.019)、大腿直筋の遊脚中期(ρ=0.882、p<0.001)および遊脚終期(ρ=0.655、p=0.029)、中殿筋の遊脚終期(ρ=0.791、p=0.004)の筋活動量変化率と有意な正の相関を示した。また、大腿部合成加速度の変化率とは、立脚期(ρ=−0.655、p=0.029)および遊脚終期(ρ=−0.627、p=0.039)において有意な負の相関を示した。
【結論】
ランニング立脚期におけるTFL過活動は外腹斜筋との協調的活動による体幹・骨盤安定化戦略と関連していた。遊脚期には大腿直筋活動の増加および大腿部動揺の低下を伴い、遊脚終期には中殿筋のプレアクティベーションの増強を認めた。以上より、股関節外転筋疲労課題後のTFL過活動は股関節安定性の低下に対する代償的運動戦略を反映し、後続する立脚期に向けた中殿筋のプレアクティベーションを含む協調運動パターンの再編成と関連することが示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づいて実施した。対象者には研究の目的、方法および参加の自由について口頭および書面で説明し、十分な理解を得た上で同意を取得した。得られたデータは匿名化し、個人情報の保護に十分配慮した。本発表については、種子島医療センターの倫理審査の承認(承認番号:種倫R8-3号)を得た。
