講演情報

[JO2-03]投球側下肢内転筋機能への介入により投球動作の改善が得られた肘OCD症例

*柳澤 竜也1、来間 弘展2、上本 宗唯1 (1. かみもとスポーツクリニック、2. 東京都立大学)

キーワード:

肘離断性骨軟骨炎、投球動作、股関節内転筋

【症例紹介】
症例は11歳男子、軟式野球、投手、右投げ右打ち。野球肘検診で右肘離断性骨軟骨炎(Osteochondritis Dissecans:以下 OCD)を指摘され、当院初診となった。自覚症状はない。肘X線検査で確定診断となり、投球禁止および理学療法開始となった。
【評価とリーズニング】
徒手筋力検査(以下MMT R/L)は股関節内転3/5、外転4/4、外旋4/4であった。下肢自動運動検査のひとつであるLateral Slide Test(以下 LST R/L)は0.7/0.8であった。投球フォームの評価では、フットプラント(FP)から最大外旋位(MER)にかけて体幹の早期からの回旋と肘下がりを認めた。以上の結果から股関節内転筋機能の低下により骨盤制御が不十分となり、投球時に体幹が早期に回旋した結果、FPからMERにかけて肘下がりが生じ、肘関節外反ストレスが増大することでOCD発症の一因となったと推論した。
【介入内容と結果】
股関節内転筋による骨盤・股関節回旋制御能力の向上を目的に、股関節内転筋への運動療法(OKCおよびCKC)を週 1 回、計8回実施した。ホームエクササイズとして同様の運動を毎日実施するように指導した。MMT(R/L)は股関節内転5/5、LST(R/L)は0.8/0.8と改善が得られた。また、初診2ヶ月後の肘X線で分離部の修復が得られたため、投球指導を開始した。投球フォームでは体幹の早期からの回旋が減少し、FPからMERにおける肘下がりの改善を認めた。
【考察】
本症例では、股関節内転筋機能低下に伴う骨盤制御不良が、体幹の早期からの回旋および肘下がりを惹起した要因であると考えた。介入により股関節内転筋機能および骨盤制御能力が向上したことで体幹の早期からの回旋が抑制されFPからMERにおける肘下がりの改善につながったと考えられる。先行研究では、CKCにおける股関節内旋時に⻑内転筋が活動することが報告されている。本症例においても、股関節内転筋への介入により骨盤制御能力が向上し、投球動作が改善したことから、本介入の妥当性が支持されると考えた。
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告はヘルシンキ宣言に基づき実施した。患者本人および保護者に対し、本報告の目的、個人情報保護および匿名性について十分に説明し、同意を得た。