講演情報
[JO2-04]人工股関節全置換術後3か月における患者報告型アウトカムに対する術前脚長差の影響
*赤塚 祐子1,2、浅田 啓嗣1 (1. 鈴鹿医療科学大学大学院、2. 医療法人永井病院)
キーワード:
変形性股関節症、生活機能、股関節長
【はじめに】人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty: THA)において、術後の股関節長(Hip Length Discrepancy: HLD)を10 mm未満とすることは患者満足度向上に重要とされる。しかし、術前のHLDが術後の機能回復に及ぼす影響は十分に解明されていない。本研究は、患者立脚型アウトカムを用い、術前HLDが術後3か月におけるJHEQ総合点および下位項目(痛み・動作・メンタル)に及ぼす影響を探索的に検討することを目的とした。
【方法】対象は所属施設にてTHAを施行された129名である。評価項目は基本属性(年齢、性別)、術前HLD、日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ)とした。統計方法は、まずHLDを連続変数とした重回帰分析を行い、線形関係の有無を検証した。次に、術後HLDにおける先行研究を参考に術前HLDを10 mm未満群と10 mm以上群の2群に分類した。術前JHEQ、年齢、性別を共変量とした共分散分析(ANCOVA)を実施するにあたり、事前に「群×共変量」の交互作用を評価して等傾斜性を確認した。有意水準は5%とした。
【結果】対象の内訳は、10 mm未満群が86名(68.8±9.4歳)、10 mm以上群が43名(69.4±10.1歳)であった。重回帰分析の結果、連続変数としてのHLDと術後JHEQの間に統計学的な線形関係は認めなかった。2群間の等傾斜性の検証では、交互作用効果に有意差を認めず(p = 0.567)、平行性の仮定が満たされたためANCOVAを実施した。ANCOVAの結果、各指標の非標準化B係数、p値、偏η²は以下の通りであった。JHEQ総合点:B = 4.371, p = 0.105, 偏η² = 0.021、痛み項目:B = 1.204, p = 0.185, 偏η² = 0.014、動作項目:B = 0.623, p = 0.642, 偏η² = 0.002、メンタル項目:B = -0.438, p = 0.742, 偏η² = 0.001。2群間比較においても統計学的有意差は認められなかったが、JHEQ総合点における群間差(B = 4.371)は効果量(小〜中)と臨床的に無視できない差であった。
【結論】術後3か月のJHEQにおいて、術前HLDによる統計学的な有意差は認められなかった。しかし、総合点における群間差や効果量を踏まえると、術前HLDが術後アウトカムに及ぼす臨床的な影響を完全に否定することはできず、特定の閾値(10 mm)を境にスコアに乖離が生じる可能性が示唆された。術前HLDは、今後の大規模研究において術後JHEQの推移を予測・検証する際の重要な関連因子候補の一つになり得ると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、所属研究施設において承認されたもので、対象者には研究内容を説明し、同意を得て実施した。
【方法】対象は所属施設にてTHAを施行された129名である。評価項目は基本属性(年齢、性別)、術前HLD、日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ)とした。統計方法は、まずHLDを連続変数とした重回帰分析を行い、線形関係の有無を検証した。次に、術後HLDにおける先行研究を参考に術前HLDを10 mm未満群と10 mm以上群の2群に分類した。術前JHEQ、年齢、性別を共変量とした共分散分析(ANCOVA)を実施するにあたり、事前に「群×共変量」の交互作用を評価して等傾斜性を確認した。有意水準は5%とした。
【結果】対象の内訳は、10 mm未満群が86名(68.8±9.4歳)、10 mm以上群が43名(69.4±10.1歳)であった。重回帰分析の結果、連続変数としてのHLDと術後JHEQの間に統計学的な線形関係は認めなかった。2群間の等傾斜性の検証では、交互作用効果に有意差を認めず(p = 0.567)、平行性の仮定が満たされたためANCOVAを実施した。ANCOVAの結果、各指標の非標準化B係数、p値、偏η²は以下の通りであった。JHEQ総合点:B = 4.371, p = 0.105, 偏η² = 0.021、痛み項目:B = 1.204, p = 0.185, 偏η² = 0.014、動作項目:B = 0.623, p = 0.642, 偏η² = 0.002、メンタル項目:B = -0.438, p = 0.742, 偏η² = 0.001。2群間比較においても統計学的有意差は認められなかったが、JHEQ総合点における群間差(B = 4.371)は効果量(小〜中)と臨床的に無視できない差であった。
【結論】術後3か月のJHEQにおいて、術前HLDによる統計学的な有意差は認められなかった。しかし、総合点における群間差や効果量を踏まえると、術前HLDが術後アウトカムに及ぼす臨床的な影響を完全に否定することはできず、特定の閾値(10 mm)を境にスコアに乖離が生じる可能性が示唆された。術前HLDは、今後の大規模研究において術後JHEQの推移を予測・検証する際の重要な関連因子候補の一つになり得ると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、所属研究施設において承認されたもので、対象者には研究内容を説明し、同意を得て実施した。
