講演情報

[JO3-01]側臥位股関節外転Drop課題における予測的・代償的姿勢制御指標と静的・動的立位バランス能力との関連

*北村 幸大1、下田 直哉1、青木 詩葉1、前田 孔太1、若林 勇人1、宮﨑 純弥1、兒玉 隆之1、重藤 隼人1 (1. 京都橘大学)

キーワード:

側臥位Drop、予測的姿勢制御、代償的姿勢制御

【はじめに】
予測的姿勢制御(Anticipatory Postural Adjustments:APA)および代償的姿勢制御(Compensatory Postural Adjustments:CPA)は、立位や歩行などの姿勢安定性に重要な役割を果たす。近年、臥位や座位で実施される下肢運動課題が、立位姿勢制御機能を反映する可能性が報告されている。一方、側臥位股関節外転Drop課題(側臥位Drop)は、中殿筋をはじめとする股関節外転筋群や骨盤・体幹筋の協調的制御を評価し得る課題であるが、静的および動的立位バランス能力との関連は十分に明らかでない。本研究は、側臥位DropにおけるAPA・CPA相の姿勢制御指標と静的・動的立位バランス能力との関連を検討することを目的とした。
【方法】
健常若年者26名(男性18名、女性8名)を対象とした。姿勢制御評価には臥位姿勢制御課題として側臥位Drop、静的姿勢制御課題として片脚立位保持課題(SLS)、動的姿勢制御課題としてLateral Step Down Test(LSDT)を実施した。各課題では脳波、筋電図、加速度を測定し、SLSおよびLSDTでは動作相の区分けのため重心動揺を測定した。姿勢制御指標として、各課題で脳波の事象関連電位(準備電位:BP成分、N1成分)、筋活動(中殿筋、大腿筋膜張筋、多裂筋、腹筋群、腰方形筋)、骨盤加速度Root Mean Square(RMS)を算出し、APA相とCPA相に分けて解析した。SLS・LSDTの姿勢安定性は動画からバランススコアを評価した。統計解析は、側臥位Dropの各変数を説明変数とし、SLSおよびLSDTのバランススコアを目的変数とした各モデルのElastic Net解析を実施した。さらに、Spearmanの順位相関分析を用いて、異なる課題間で得られた姿勢制御指標同士の関連性を検討した。
【結果】
SLSバランススコアに対するElastic Net解析では、モデル適合度はR²=0.42であった。変数重要度はCPA相腹筋群筋活動、APA相骨盤加速度RMS、CPA相中殿筋筋活動、CPA相骨盤加速度RMS、N1成分、多裂筋筋活動の順に高値を示した。一方、LSDTではモデル適合度がR²=0.02と低く、有用な予測変数は認められなかった。また、側臥位DropとSLSおよびLSDTとの間で、各姿勢制御指標同士に有意な相関は認められなかった。
【結論】
本研究の結果から、側臥位DropにおけるAPA・CPA相の運動制御指標は、片脚立位保持課題を用いた静的立位バランス能力を一定程度予測できる可能性が示された。一方で、LSDTとの関連は認められず、動的バランス能力の予測には適していなかった。また、課題間で個々の運動制御指標に直接的な関連は認められなかった。側臥位Dropは、静的立位バランスに関連する感覚運動制御機能を臥位で簡便に検出する評価手法として応用できる可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は京都橘大学研究倫理委員会の承認(25-64)を得て実施した。対象者には口頭で説明し、書面にて同意を得た。