講演情報

[JO3-03]健常中高年男性における棘上筋・棘下筋の筋輝度と筋力の関係

*井上 卓也1、宮崎 純弥2、重藤 隼人2 (1. なかじま内科・整形スポーツクリニック、2. 京都橘大学 健康科学部 理学療法学科)

キーワード:

筋輝度、棘上筋、棘下筋

【はじめに,⽬的】回旋筋腱板(以下,腱板)の画像評価について,従来の筋断面積や筋厚を用いた筋の量的評価では,骨格筋内に含まれる脂肪組織や結合組織といった非収縮組織も含まれてしまうため,筋収縮組織を過大評価する懸念がある.そのため,筋の量的評価だけでなく,筋の質的評価である筋輝度も評価することが重要だと考えられている.筋輝度と筋力との関連において,大腿四頭筋では筋輝度の上昇が筋力低下と有意な負の相関を示すことが報告されており,筋の質的変化が筋機能に大きな影響を与えることが明らかになってきている.しかし,腱板における筋輝度と筋力との関係は明らかになっていない.そこで本研究では棘上筋,棘下筋に着目し,健常中高年男性の筋輝度と肩関節外転,外旋筋力との関係を明らかにした.【⽅法】対象は,健常中高年男性20名(年齢55.5±7.7歳)とした.選定基準はいずれも肩関節に疼痛の訴えがなく,神経および整形外科的疾患を有さない者とした.エコーはKONICA MINOLTA社製SONIMAGE MX1を使用し,Bモードにて筋輝度を計測した.測定は超音波測定に慣れた検者1名が担当した.棘上筋の測定は,肩甲棘内側縁と肩峰を結んだ線の中点と烏口突起を結んだ断面で棘上筋の横断像を描出した.棘下筋の測定は,肩峰角と肩甲棘内側端を結ぶ中点の尾方の部位で棘下筋の横断像を描出した.筋輝度測定はエコーに搭載されているHistogram計測機能を用いた.肩関節外転筋と外旋筋の筋力測定は,HHD(アニマ社,ミュータスF1)を使用した.外転筋は,Full can test,外旋筋はInfraspinatous testに準じた方法で2回測定し,平均値を測定値とした.得られた測定値にレバーアーム長(上腕長または前腕長)を乗じ,体重で除した値(Nm/kg)を代表値とした.得られたデータは,Shapiro-Wilk 検定を行い,正規性を確認した.筋輝度と筋力の相関はSpearmanの順位相関係数を用いた.有意水準は5%とした.【結果】筋輝度について,棘上筋は54.1±15.3,棘下筋は43.1±12.3であった.筋力について,外転筋は0.20±0.04,外旋筋は0.19±0.05であった.筋輝度と筋力との相関関係について,棘上筋(r=0.08),棘下筋(r=0.19)ともに有意な相関関係は認められなかった(ともに p>0.05).【結論】健常中高年男性において,棘上筋および棘下筋の筋輝度と肩関節外転・外旋筋力との間には有意な相関は認められなかった.本研究の結果から,健常中高年男性の棘上筋,棘下筋においては,筋の質的変化が筋力に及ぼす影響は限定的である可能性が示唆された.【倫理的配慮,説明と同意】対象者には研究の趣旨と得られたデータは研究以外には使用しないこと,および個人情報の取り扱いに十分配慮することを書面と口頭にて説明し,了承を得たうえで実施した.また本研究は京都橘大学研究倫理委員会の承認を得て実施された.