講演情報
[JS1-02]回転性めまいを呈した症例の鑑別評価と徒手理学療法
*浅岡 祐之1 (1. 日本医療科学大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻)
キーワード:
めまい、鑑別評価、BPPV
【症例紹介】
40歳女性、事務職。主訴はめまい。約2週間前より誘因なく持続時間1〜2分の回転性めまいが出現し耳鼻科を受診した。「めまい症」と診断され服薬治療を開始したが改善せず、日常生活および業務に著しい支障を来したため理学療法を開始した。
【評価とリーズニング】
めまいは末梢性障害と中枢性障害に大別される。本症例は高血圧や言語・運動・感覚障害を認めず、回転性めまいを主訴としていたことから中枢性障害の可能性は低いと判断した。レッドフラッグスを認めなかったため理学療法評価・治療の適応とした。過去の転倒歴を考慮し、安全確認として頚椎のStability test(翼状靱帯・横靱帯)を実施したところ、いずれも陰性であった。cervical torsion testでは相対的頸部回旋(体幹回旋)で症状は出現せず、頭部回旋および頭部・体幹同調回旋で症状が誘発された。この結果と、寝返りで誘発される回転性めまいという特徴から前庭由来を疑った。さらにDix-Hallpike testを実施したところ、左側で眼振および頭位変換めまいを認めたため、左側良性発作性頭位めまい症(BPPV)の可能性が高いと判断した。
【介入内容と結果】
左後半規管型BPPVを疑い、左側へのEpley法を実施した。初回直後は検査による不快感が残存し改善を認めなかったが、自宅での継続実施方法を指導した。翌日の自主運動実施後には一時的なめまいの誘発を認めたものの、その後不快感は消失した。開始3日目には著明な改善を認め、1週間後には症状は消失し、日常生活および業務への支障も認めなかった。再発予防として視線安定化エクササイズおよび立位バランス練習を指導した。その後1、2か月の経過観察において再発を認めなかったため介入を終了した。
【考察】
本症例では、cervical torsion testにより前庭由来を疑い、Dix-Hallpike testの結果からBPPVと判断した。BPPVは卵形嚢斑から脱落した耳石が半規管内へ迷入し、特徴的な眼振やめまいを生じる疾患である。後半規管型BPPVへのEpley法は、無治療等と比較して自覚的・他覚的なめまいと眼振の消失を有意に促進する高いエビデンスがあり本症例でも奏功した。今回supine head roll testを実施していないため外側半規管型との直接的鑑別は不十分であったが、Epley法は外側半規管型には無効とされるため、治療的診断の観点からも本症例は後半規管型であった可能性が高いと考えられた。めまいの原因は多岐にわたり、事務職を背景とした症例では頚性めまいとの鑑別は重要となる。的確な評価手順に基づき、適切に鑑別を行うことが効果的な理学療法の実践に繋がると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には個人情報保護、同意および撤回の自由等について説明し、書面による同意を得た。
40歳女性、事務職。主訴はめまい。約2週間前より誘因なく持続時間1〜2分の回転性めまいが出現し耳鼻科を受診した。「めまい症」と診断され服薬治療を開始したが改善せず、日常生活および業務に著しい支障を来したため理学療法を開始した。
【評価とリーズニング】
めまいは末梢性障害と中枢性障害に大別される。本症例は高血圧や言語・運動・感覚障害を認めず、回転性めまいを主訴としていたことから中枢性障害の可能性は低いと判断した。レッドフラッグスを認めなかったため理学療法評価・治療の適応とした。過去の転倒歴を考慮し、安全確認として頚椎のStability test(翼状靱帯・横靱帯)を実施したところ、いずれも陰性であった。cervical torsion testでは相対的頸部回旋(体幹回旋)で症状は出現せず、頭部回旋および頭部・体幹同調回旋で症状が誘発された。この結果と、寝返りで誘発される回転性めまいという特徴から前庭由来を疑った。さらにDix-Hallpike testを実施したところ、左側で眼振および頭位変換めまいを認めたため、左側良性発作性頭位めまい症(BPPV)の可能性が高いと判断した。
【介入内容と結果】
左後半規管型BPPVを疑い、左側へのEpley法を実施した。初回直後は検査による不快感が残存し改善を認めなかったが、自宅での継続実施方法を指導した。翌日の自主運動実施後には一時的なめまいの誘発を認めたものの、その後不快感は消失した。開始3日目には著明な改善を認め、1週間後には症状は消失し、日常生活および業務への支障も認めなかった。再発予防として視線安定化エクササイズおよび立位バランス練習を指導した。その後1、2か月の経過観察において再発を認めなかったため介入を終了した。
【考察】
本症例では、cervical torsion testにより前庭由来を疑い、Dix-Hallpike testの結果からBPPVと判断した。BPPVは卵形嚢斑から脱落した耳石が半規管内へ迷入し、特徴的な眼振やめまいを生じる疾患である。後半規管型BPPVへのEpley法は、無治療等と比較して自覚的・他覚的なめまいと眼振の消失を有意に促進する高いエビデンスがあり本症例でも奏功した。今回supine head roll testを実施していないため外側半規管型との直接的鑑別は不十分であったが、Epley法は外側半規管型には無効とされるため、治療的診断の観点からも本症例は後半規管型であった可能性が高いと考えられた。めまいの原因は多岐にわたり、事務職を背景とした症例では頚性めまいとの鑑別は重要となる。的確な評価手順に基づき、適切に鑑別を行うことが効果的な理学療法の実践に繋がると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には個人情報保護、同意および撤回の自由等について説明し、書面による同意を得た。
