講演情報
[JS1-05]うがい動作時に後頸部痛を呈した脳卒中患者に対し上位頸椎機能障害に着目し介入した一症例
*髙橋 虎太郎1 (1. 河北リハビリテーション病院)
キーワード:
脳卒中、頸部痛、上位頸椎
【症例紹介】
症例は60歳代男性,左橋梗塞後の右片麻痺患者である。発症後5か月時点で回復期リハビリテーション病棟に入院中で,歩行は独歩可能となっていた。一方,頸部伸展時に右後頸部痛を認め,特にうがい動作時に疼痛が出現し,日常生活上の支障となっていたため理学療法介入を実施した。
【評価とリーズニング】
視診では胸椎後弯増強および頭部前方位姿勢を認め,頭部は屈曲・左側屈・左回旋位を呈していた。自動運動検査では頸部伸展および右回旋にて右後頸部痛が再現された。触診では右後頭下筋群および右C2/3椎間関節周囲に圧痛を認めた。上位頸椎のコンバーゲンス(近位滑り)を考慮し,C0/1からC2/3を分節的に評価したところ,C0/1では右側屈および屈曲,C1/2では左回旋,C2/3では伸展・右側屈・右回旋方向に可動域制限を認めた。いずれも筋性抵抗を主体とし,PIR後に可動性改善を認めたことから,可逆的な体性機能異常と判断した。C2/3では疼痛部位と評価所見が一致したことから,右C2/3椎間関節周囲に生じた機械的ストレスが症状に関与していると推察した。
【介入内容と結果】
疼痛軽減を目的に頸椎牽引および右後頭下筋群への軟部組織テクニックを実施した。その後,C0/1からC2/3に対しPIRを用いた関節モビライゼーションを実施した。介入後は頸部伸展および右回旋時の疼痛が消失し,頸部可動域の改善を認めた。また,主訴であったうがい動作時の疼痛および困難感は軽減した。さらに頸長筋のセルフエクササイズおよび姿勢指導を実施した。患者は自主トレーニングを積極的に継続し,入院中は頸部痛の再発を認めなかった。退院後のフォローアップで経過を確認したところ,頸部痛の再発なく日常生活を送っていることを確認した。
【考察】
本症例では,回復期リハビリテーション経過中に,片麻痺を背景に胸椎後弯増強および頭部前方位姿勢を認め,これらが上位頸椎への機械的ストレスを増大させ,後頸部痛の発症に関与した可能性が考えられた。脳卒中後の片麻痺患者では,姿勢制御障害や運動麻痺に伴う頭頸部・体幹アライメントの変化が生じ,二次的な筋骨格系障害を呈することが報告されている。このため,中枢神経障害のみならず,局所の機械的要因を評価する視点も重要である。本症例では,上位頸椎のコンバーゲンス(近位滑り)を考慮して分節的に評価した結果,C0/1からC2/3に体性機能異常を認め,徒手的介入後に症状の改善が得られた。また,退院後のフォローアップにおいても頸部痛の再発を認めなかったことから,上位頸椎の機械的機能障害が症状に関与していた可能性が示唆された。片麻痺患者に生じた頸部痛を,中枢神経障害の随伴症状としてのみ捉えるのではなく,二次的な筋骨格系障害の可能性を考慮して評価・介入した点が,本症例の特徴である。
【倫理的配慮、説明と同意】
本発表に際し、症例本人に発表の目的および個人情報保護について十分に説明し、同意を得た。なお、個人が特定されないよう配慮した。
症例は60歳代男性,左橋梗塞後の右片麻痺患者である。発症後5か月時点で回復期リハビリテーション病棟に入院中で,歩行は独歩可能となっていた。一方,頸部伸展時に右後頸部痛を認め,特にうがい動作時に疼痛が出現し,日常生活上の支障となっていたため理学療法介入を実施した。
【評価とリーズニング】
視診では胸椎後弯増強および頭部前方位姿勢を認め,頭部は屈曲・左側屈・左回旋位を呈していた。自動運動検査では頸部伸展および右回旋にて右後頸部痛が再現された。触診では右後頭下筋群および右C2/3椎間関節周囲に圧痛を認めた。上位頸椎のコンバーゲンス(近位滑り)を考慮し,C0/1からC2/3を分節的に評価したところ,C0/1では右側屈および屈曲,C1/2では左回旋,C2/3では伸展・右側屈・右回旋方向に可動域制限を認めた。いずれも筋性抵抗を主体とし,PIR後に可動性改善を認めたことから,可逆的な体性機能異常と判断した。C2/3では疼痛部位と評価所見が一致したことから,右C2/3椎間関節周囲に生じた機械的ストレスが症状に関与していると推察した。
【介入内容と結果】
疼痛軽減を目的に頸椎牽引および右後頭下筋群への軟部組織テクニックを実施した。その後,C0/1からC2/3に対しPIRを用いた関節モビライゼーションを実施した。介入後は頸部伸展および右回旋時の疼痛が消失し,頸部可動域の改善を認めた。また,主訴であったうがい動作時の疼痛および困難感は軽減した。さらに頸長筋のセルフエクササイズおよび姿勢指導を実施した。患者は自主トレーニングを積極的に継続し,入院中は頸部痛の再発を認めなかった。退院後のフォローアップで経過を確認したところ,頸部痛の再発なく日常生活を送っていることを確認した。
【考察】
本症例では,回復期リハビリテーション経過中に,片麻痺を背景に胸椎後弯増強および頭部前方位姿勢を認め,これらが上位頸椎への機械的ストレスを増大させ,後頸部痛の発症に関与した可能性が考えられた。脳卒中後の片麻痺患者では,姿勢制御障害や運動麻痺に伴う頭頸部・体幹アライメントの変化が生じ,二次的な筋骨格系障害を呈することが報告されている。このため,中枢神経障害のみならず,局所の機械的要因を評価する視点も重要である。本症例では,上位頸椎のコンバーゲンス(近位滑り)を考慮して分節的に評価した結果,C0/1からC2/3に体性機能異常を認め,徒手的介入後に症状の改善が得られた。また,退院後のフォローアップにおいても頸部痛の再発を認めなかったことから,上位頸椎の機械的機能障害が症状に関与していた可能性が示唆された。片麻痺患者に生じた頸部痛を,中枢神経障害の随伴症状としてのみ捉えるのではなく,二次的な筋骨格系障害の可能性を考慮して評価・介入した点が,本症例の特徴である。
【倫理的配慮、説明と同意】
本発表に際し、症例本人に発表の目的および個人情報保護について十分に説明し、同意を得た。なお、個人が特定されないよう配慮した。
