講演情報

[KO1-04]視力障害を有する心不全患者に対する理学療法の一症例
ー多職種連携による療養指導ー

*俣野 蓮1、櫻井 玲奈1、福嶋 秀記1、海野 智也1、本山 晋一郎2、有吉 真2、浜中 一郎2 (1. 洛和会丸太町病院リハビリテーション部、2. 洛和会丸太町病院心臓内科)

キーワード:

心不全、多職種連携、療養指導

【症例紹介】
症例は71歳男性。糖尿病および慢性腎不全を合併し、うっ血性心不全の急性増悪により入院となった。既往として、1年前に心不全急性増悪による入院歴があり、左眼失明、右眼弱視を認めていた。入院時、身長166.0㎝、体重76.0㎏、BNP 837pg/ml、LVEF47.3%であり、胸部X線検査にて両側胸水貯留および肺うっ血を認めた。独居であり、再入院予防のため、セルフモニタリングの定着を目指し、主治医や看護師、薬剤師、管理栄養士、そして理学療法士からなる心不全チームにて介入を実施した。

【評価とリーズニング】
理学療法初期評価では、SPPBは10点、6分間歩行試験(6MWT)では235mであり、歩行後の自覚的運動強度はBorgscale15であった。軽度の頸静脈怒張や下腿浮腫を認め、Nohria-Stevenson分類ではWet&Coldと判断した。労作時の呼吸困難感および疲労感は、肺うっ血による換気効率低下が主因と考えられた。また、増悪因子としては、自覚症状に対する理解が乏しいことによる体重や血圧測定の未実施、視力障害による、薬包の印字の読字が困難であり怠薬していたと考え、運動療法と並行した自己管理支援が必要と判断した。

【介入内容と結果】
理学療法では、レジスタンストレーニングとして、ベッド周囲や自宅でも行いやすいような坐位でのレッグエクステンション、立位でのカーフレイズなどを疲労感に応じて実施した。有酸素運動では、T字杖を使用した歩行練習を、100mを目安に2~3セット実施しBorgscale13を目安とした。 併せて医師、看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーが参加する心不全カンファレンスにて状況共有と支援方法を共有した。看護師からは、心不全手帳を用いて心不全指導の実施、心不全手帳を拡大印刷しルーペを用いた記載を導入したほか、薬剤師による分包紙への色分け表示、管理栄養士による減塩食指導を実施した。理学療法士からは、介入時に指導したチェアエクササイズ、また看護師と協働し、リハビリ時間以外での歩行訓練を指導し、実施した運動を心不全手帳に記載するように指導した。これらは自覚症状に応じて過活動にならない範囲で実施するよう指導した。2週間後、体重は55.9kg、BNPは488pg/mlに改善した。運動機能では、2週間自覚症状に応じて継続したことで、歩行後Borgscaleは13へ低下した。入院から2週間後に自宅退院となり、退院後1ヶ月が経過するも増悪なく療養できている。

【考察】
本症例は、多職種参加型の心不全カンファレンスにおいて、再増悪因子を共有し視力障害に配慮した具体的な自己管理支援をそれぞれの専門職の視点から実践できた。入院時から外来に至るまで身体特性を考慮した自己管理支援を継続し、心不全の再発を防ぐことが重要である。

【倫理的配慮、説明と同意】
本症例報告にあたっては、ヘルシンキ宣言に基づき、個人が特定されないよう十分配慮した。