講演情報
[KO4-04]復職を見据え回復期入院中、歩行自立後も装具調整を継続した左脳梗塞の一例
*小林 奏太1、村松 永陽1,2、山口 祐太郎1 (1. 脳神経リハビリ北大路病院、2. 藤田医科大学)
キーワード:
脳梗塞、歩行、装具
【症例紹介】60代男性。X日にふらつき・めまいが出現し、X+1日に右へ傾く症状が出現して受診し、頭部MRIで左ラクナ梗塞と診断され加療された。X+28日に当院回復期病棟へ入院し、入院時は車椅子移動、Functional Independence Measure(FIM)歩行は4点であった。病前は就労し、自宅退院と職場復帰を目標に介入した。【評価とリーズニング】X+28日のStroke Impairment Assessment Set(SIAS)はmotor 2-2-1/sensory 3-3/tone 1Aであり、右足関節・足趾にクローヌスとclaw toeを認めた。10m歩行は独歩26.0秒/26歩、T-cane 16.8秒/24歩であった。歩行分析では、患側立脚終期に踵離地が生じず、前足部ロッカーと前遊脚期のpush-offが得られていなかった。脳画像では左放線冠に病巣を認め、痙縮の増悪が予測された。これらの所見から、歩行量増加に伴う痙縮亢進を予防する必要があると考えた。X+56日には歩行能力はFIM歩行6点相当まで改善したが、本症例は自主練習を過剰に行う傾向があり、病棟での歩行量増加は段階的に進めた。【介入内容と結果】痙縮に配慮した促通練習と病棟での歩行量管理を行い、自主練習として下腿三頭筋ストレッチを指導した。歩行練習は当初オルトップAFOと既製品Short Posterior Strut-AFO(SPS)を使用した。X+70日には病棟生活上のFIM歩行も6点となった。前足部ロッカー機能不全とpush-off低下が残存していたため、最終的にオーダーメイドSPSを作製し、以後も義肢装具士が来院し、claw toe対策として指枕と足板調整を反復した。足板は全足趾を覆う形状としたが、遊脚時のクリアランス不良を認めたためMP関節レベルまで段階的にトリミングを行った。退院時はSIAS motor 3-4-2/sensory 3-3/tone 1A、10m歩行はT-cane 12.9秒/23歩、独歩11.6秒/22歩と改善し、明らかな痙縮増悪は認めなかった。歩行能力は早期から自立したが、復職に必要な2~3kmの連続歩行獲得と装具調整に時間を要したため在院が延長した。最終的に目標を達成し、自宅退院後に復職した。【考察】本例は、歩行能力が早期(X+56日)に自立したが、過用による痙縮亢進を防ぐため自立度と運動量を調整した。川手ら(2022)の報告と同様に前足部ロッカー機能不全とpush-off低下を認めたが、歩行量管理と装具調整により痙縮増悪なく歩行能力が向上した。足板によるpush-off補助と指枕による足趾屈曲反射の抑制を試みた。しかし装着時痛やクリアランス不良が生じ、トリミング等の修正を重ねた。足板は適合を得られた一方、指枕は中止に至った。装具による補助は適合の調整に左右され、個々の反応に応じた適合調整の重要性が示唆された。能力獲得だけでなく、過用や痙縮を考慮した自立度と運動量管理と、歩容や活動範囲を見据えた装具調整が回復期の歩行自立支援で重要と考えられた。【倫理的配慮、説明と同意】本研究を実施するにあたり、研究の目的および内容を説明し、口頭にて同意を得た。
