講演情報
[KO5-03]士会主催症例発表会への参加・発表者数が増加しない阻害要因の分析
*豊島 晶1、平本 真知子2、村尾 昌信3、松下 路子3、浅野 伝美3、山口 朋彦3、岸田 和也4、西村 彩香5、山﨑 勢那6、永井 楓7、吉岡 愛香8、西村 純9 (1. 洛西ニュータウン病院、2. 洛和会音羽リハビリテーション病院、3. 京都大学医学部附属病院、4. 京都きづ川病院、5. 京都市立病院、6. 丸太町リハビリテーションクリニック、7. 京都医健専門学校、8. 洛西シミズ病院、9. 京都済生会病院)
キーワード:
症例発表、登録理学療法士、参加障壁
【はじめに・目的】
京都府理学療法士会(以下、京都士会)では、士会主催症例発表会への参加者数・発表者数の伸び悩みが継続的な課題となっている。本研究は、前期・後期研修中の会員を対象にアンケート調査を実施し、参加・発表者数が増加しない阻害要因を明らかにするとともに、主催者側が講ずべき方策を検討することを目的とした。
【方法】
京都士会会員を対象に、無記名自記式Webアンケートを2026年5月1日〜6月19日に実施した(総回答数115件)。前期・後期研修中でデータ使用への同意が得られた49名(後期研修中:26名、前期研修中:23名)を分析対象とした。単純集計・クロス集計を用い、自由記述は内容分析を行った。
【結果】
登録理学療法士取得に向けた活動については、36名(73.5%)が取得活動をしている一方、13名(26.5%:後期4名・前期9名)が活動できていない状況であった。士会主催症例発表会の認知度では34名(69.4%)が名称または内容を認知していたが、25名が参加経験なしと回答し、未認知の15名を加えると実質40名(81.6%)が参加未経験であった。認知しているにもかかわらず参加に至らない層が多数存在しており、認知から行動への顕著な乖離が認められた。発表活動として参加しやすい場では「自施設」が32名(65.3%)と最多を占め、移動を伴わない形式へのニーズの高さが示された。活動できていない13名の自由記述からは「入職まもなくノウハウがない」「職場に登録理学療法士が少なく指導体制がない(施設間格差)」「症例をまとめる機会が少ない」といった環境的・構造的な阻害要因が抽出された。一方、今後の発表意欲では31名(63.3%)が前向きな意欲を示しており、意欲はあるが行動に移せない潜在層の存在が明らかとなった。
【結論】
回答者の6割以上が潜在的な発表意欲を持ちながら参加・発表に至らない背景には、現行の開催様式(土日・対面参集)が伴う時間的・物理的・心理的コストと会員ニーズとの乖離、および施設規模・指導体制の格差による構造的な参加障壁の存在が確認された。課題解決の鍵は新たな機会の提供ではなく参加容易性の向上にあり、完全オンライン化・短時間化による時間的障壁の低減、発表テンプレートの配布による準備負担の軽減、心理的安全性を担保する運営ルールの整備、指導者不在施設への先行的な支援体制の構築が有効な方策となり得ると考えられる。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った。対象者には、アンケート収集時に研究利用に関する包括的同意を取得し、オプトアウトによる自由意思に基づく研究参加撤回の機会を保障した。
京都府理学療法士会(以下、京都士会)では、士会主催症例発表会への参加者数・発表者数の伸び悩みが継続的な課題となっている。本研究は、前期・後期研修中の会員を対象にアンケート調査を実施し、参加・発表者数が増加しない阻害要因を明らかにするとともに、主催者側が講ずべき方策を検討することを目的とした。
【方法】
京都士会会員を対象に、無記名自記式Webアンケートを2026年5月1日〜6月19日に実施した(総回答数115件)。前期・後期研修中でデータ使用への同意が得られた49名(後期研修中:26名、前期研修中:23名)を分析対象とした。単純集計・クロス集計を用い、自由記述は内容分析を行った。
【結果】
登録理学療法士取得に向けた活動については、36名(73.5%)が取得活動をしている一方、13名(26.5%:後期4名・前期9名)が活動できていない状況であった。士会主催症例発表会の認知度では34名(69.4%)が名称または内容を認知していたが、25名が参加経験なしと回答し、未認知の15名を加えると実質40名(81.6%)が参加未経験であった。認知しているにもかかわらず参加に至らない層が多数存在しており、認知から行動への顕著な乖離が認められた。発表活動として参加しやすい場では「自施設」が32名(65.3%)と最多を占め、移動を伴わない形式へのニーズの高さが示された。活動できていない13名の自由記述からは「入職まもなくノウハウがない」「職場に登録理学療法士が少なく指導体制がない(施設間格差)」「症例をまとめる機会が少ない」といった環境的・構造的な阻害要因が抽出された。一方、今後の発表意欲では31名(63.3%)が前向きな意欲を示しており、意欲はあるが行動に移せない潜在層の存在が明らかとなった。
【結論】
回答者の6割以上が潜在的な発表意欲を持ちながら参加・発表に至らない背景には、現行の開催様式(土日・対面参集)が伴う時間的・物理的・心理的コストと会員ニーズとの乖離、および施設規模・指導体制の格差による構造的な参加障壁の存在が確認された。課題解決の鍵は新たな機会の提供ではなく参加容易性の向上にあり、完全オンライン化・短時間化による時間的障壁の低減、発表テンプレートの配布による準備負担の軽減、心理的安全性を担保する運営ルールの整備、指導者不在施設への先行的な支援体制の構築が有効な方策となり得ると考えられる。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った。対象者には、アンケート収集時に研究利用に関する包括的同意を取得し、オプトアウトによる自由意思に基づく研究参加撤回の機会を保障した。
