講演情報

[KS1-02]地域在住の後期高齢女性における骨量低下と身体・心理・社会的要因およびヘルスリテラシーとの関連

*葛迫 剛1、菊地 雄貴2、中野 英樹1、合田 明生3、森 耕平4、白岩 加代子1、堀江 淳1、村田 伸1 (1. 京都橘大学、2. 森ノ宮医療大学、3. 北陸大学、4. 関西福祉科学大学)

キーワード:

後期高齢女性、骨量低下、ヘルスリテラシー

【目的】後期高齢者は前期高齢者よりも要介護状態に陥るリスクが高く、特に後期高齢女性は、閉経後のエストロゲン低下に伴う骨量減少や骨代謝の変化により骨量低下の有病率が高い。骨量低下は骨粗鬆症や脆弱性骨折の発症リスクを高めることから、その予防は健康寿命延伸に向けた重要な課題である。骨量低下は加齢に加え、筋力、移動能力、身体活動、栄養状態などの関与が報告されているが、後期高齢女性を対象に身体・心理・社会的要因およびヘルスリテラシーを含めて包括的に検討した報告は限られている。本研究では、地域在住高齢女性を対象に、骨量低下と身体・心理・社会的要因およびヘルスリテラシーとの関連を明らかにし、骨量低下の予防に資する知見を得ることを目的とした。
【方法】対象は、地域在住の後期高齢女性312名とした。骨量は定量的超音波装置により測定し、Young Adult Mean(YAM)値が70%以下を骨量低下群、70%超を骨量維持群とした。両群間で、握力、30-second Chair Stand Test、開眼片脚立位時間、Timed Up and Go test(TUG)、転倒不安感、うつ傾向、閉じこもり、身体活動、低栄養およびヘルスリテラシー(Communicative and Critical Health Literacy:CCHL)を比較した。さらに、骨量低下の有無を従属変数とし、各評価項目を独立変数、年齢および教育歴を調整変数とした二項ロジスティック回帰分析を実施した。統計学的解析にはSPSS version 30.0を用い、有意水準は5%とした。
【結果】2群比較では、年齢、低栄養、握力、TUG、CCHLで有意差を認めた(p<0.05)。二項ロジスティック回帰分析の結果、低栄養(OR=2.75,95%CI:1.51-5.03,p<0.001)、TUG(OR=1.65,95%CI:1.19-2.28,p=0.003)、CCHL(OR=0.71,95%CI:0.55-0.92,p=0.010)が有意な関連を認めた。
【結論】後期高齢女性の骨量低下には、低栄養および移動能力の低下といった身体的要因に加え、ヘルスリテラシーの低下が独立して関連した。ヘルスリテラシーは、健康情報の入手・理解・評価・活用を通じて、適切な栄養摂取や身体活動などの健康行動に影響することから、骨量維持にも関与している可能性が示された。したがって、後期高齢女性の骨量低下予防には、栄養状態や移動能力への介入のみならず、ヘルスリテラシーの向上を視野に入れた包括的な支援の必要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、ヘルシンキ宣言に則り、所属大学研究倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:22-61)。また、参加者には研究内容を口頭および書面で十分に説明を行い、同意のうえで研究を実施した。