講演情報
[KS1-03]高齢血液腫瘍患者の骨格筋特性と身体機能との関連性:性別による横断的検討
*中西 俊祐1,2、坂田 莉毅1、宮原 裕子3、伊藤 満4、奥村 朋央1、三浦 靖史2 (1. 京都市立病院 リハビリテーション科、2. 神戸大学大学院 医学系研究科 健康科学専攻、3. 京都市立病院 血液内科、4. 京都市立病院 輸血・造血幹細胞移植科)
キーワード:
高齢血液腫瘍患者、骨格筋質、骨格筋量
【目的】超高齢社会を迎えた本邦において、高齢がん患者が抱えるサルコペニアやフレイルといった老年症候群への評価や介入は極めて重要である。特に血液腫瘍患者において、骨格筋量や筋質は、がん治療に伴う有害事象の発生や生存期間に影響を及ぼす重要な評価指標とされている。しかし、高齢血液腫瘍患者は若年患者と比較し、どのような骨格筋特性を有しているのか、またその特性が身体機能にどのように影響を与えるのかは、依然として明らかにされていない。本研究では、高齢血液腫瘍患者の骨格筋特性と身体機能との関連を明らかにすることで、新たなリハビリテーション戦略の構築に寄与することを目的とする。
【方法】対象は、初発の血液腫瘍でリハビリテーション治療を実施した171例(女性80例)とした。骨格筋特性として、診断時のComputed Tomography(CT)画像から骨格筋量(Psoas Muscle Index: PMI)および筋質(大腰筋CT値)を算出した。また、身体機能は、がん患者に特化した身体機能評価ツールであるCancer Functional Assessment Set(cFAS)を用いて評価した。解析は対象を18歳以上65歳未満の若年群、65歳以上75歳未満の前期高齢群、75歳以上の後期高齢群の3群に分類し、男女別に3群間で骨格筋特性を比較した。さらに、骨格筋特性と身体機能(cFAS)の関連性は線形回帰分析(単回帰、重回帰)を用いて検証した。
【結果】若年群45例(女性17例)、前期高齢群49例(女性24例)、後期高齢群77例(女性39例)であった。PMIは、男性において若年群と比較し後期高齢群で有意に低値を示した(若年群 6.16cm2/m2 、前期高齢群 6.14cm2/m2 、後期高齢群4.92cm2/m2, p<0.01)。女性では有意な差を認めなかった。大腰筋CT値は、男性において若年群と比較して前期高齢群および後期高齢群の両群で有意に低値を示した(若年群46.13HU、前期高齢群42.01HU、後期高齢群37.79HU, p<0.01)。女性は若年群と比較して後期高齢群で有意に低値を示した(若年群43.71HU、前期高齢群38.71HU、後期高齢群36.94HU, p<0.01)。身体機能(cFAS)と骨格筋特性との関連性について年齢、がん種、ヘモグロビン値を調整変数とした重回帰分析の結果、cFASの独立した有意な関連因子として、女性における大腰筋CT値(β=0.57,95%CI:0.13~1.01,p=0.01)および年齢(β=-0.25,95%CI:-0.48~-0.02,p=0.03)が抽出された。男性の骨格筋特性は関連因子として抽出されなかった。
【考察】高齢血液腫瘍患者の骨格筋特性において、男女ともに加齢に伴う骨格筋量減少よりも、筋質の低下が生じる可能性が示された。重回帰分析から身体機能の独立した関連因子として女性の筋質(大腰筋CT値)が抽出され、女性は筋量だけでなく、筋質に着目した評価、介入が重要である可能性がある。
【結論】血液腫瘍患者では、加齢に伴い骨格筋量減少よりも筋質の低下が認められた。特に女性の身体機能においては筋質の評価が重要であり、筋質を標的とした介入の必要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は当院臨床研究倫理委員会で承認を得た。説明と同意はオプトアウト方式を採用し、研究への問い合わせ窓口を設けた。
【方法】対象は、初発の血液腫瘍でリハビリテーション治療を実施した171例(女性80例)とした。骨格筋特性として、診断時のComputed Tomography(CT)画像から骨格筋量(Psoas Muscle Index: PMI)および筋質(大腰筋CT値)を算出した。また、身体機能は、がん患者に特化した身体機能評価ツールであるCancer Functional Assessment Set(cFAS)を用いて評価した。解析は対象を18歳以上65歳未満の若年群、65歳以上75歳未満の前期高齢群、75歳以上の後期高齢群の3群に分類し、男女別に3群間で骨格筋特性を比較した。さらに、骨格筋特性と身体機能(cFAS)の関連性は線形回帰分析(単回帰、重回帰)を用いて検証した。
【結果】若年群45例(女性17例)、前期高齢群49例(女性24例)、後期高齢群77例(女性39例)であった。PMIは、男性において若年群と比較し後期高齢群で有意に低値を示した(若年群 6.16cm2/m2 、前期高齢群 6.14cm2/m2 、後期高齢群4.92cm2/m2, p<0.01)。女性では有意な差を認めなかった。大腰筋CT値は、男性において若年群と比較して前期高齢群および後期高齢群の両群で有意に低値を示した(若年群46.13HU、前期高齢群42.01HU、後期高齢群37.79HU, p<0.01)。女性は若年群と比較して後期高齢群で有意に低値を示した(若年群43.71HU、前期高齢群38.71HU、後期高齢群36.94HU, p<0.01)。身体機能(cFAS)と骨格筋特性との関連性について年齢、がん種、ヘモグロビン値を調整変数とした重回帰分析の結果、cFASの独立した有意な関連因子として、女性における大腰筋CT値(β=0.57,95%CI:0.13~1.01,p=0.01)および年齢(β=-0.25,95%CI:-0.48~-0.02,p=0.03)が抽出された。男性の骨格筋特性は関連因子として抽出されなかった。
【考察】高齢血液腫瘍患者の骨格筋特性において、男女ともに加齢に伴う骨格筋量減少よりも、筋質の低下が生じる可能性が示された。重回帰分析から身体機能の独立した関連因子として女性の筋質(大腰筋CT値)が抽出され、女性は筋量だけでなく、筋質に着目した評価、介入が重要である可能性がある。
【結論】血液腫瘍患者では、加齢に伴い骨格筋量減少よりも筋質の低下が認められた。特に女性の身体機能においては筋質の評価が重要であり、筋質を標的とした介入の必要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は当院臨床研究倫理委員会で承認を得た。説明と同意はオプトアウト方式を採用し、研究への問い合わせ窓口を設けた。
