講演情報

[KS1-04]令和8年度改定を見据えたFIM低値例の患者別実績指数相当値48到達と早期層別化

*中野 雅司1、坂本 陽子2 (1. 蘇生会総合病院 リハビリテーション科、2. 蘇生会総合病院 栄養管理科)

キーワード:

回復期リハビリテーション病棟、FIM、実績指数

【はじめに、目的】
令和8年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟の実績指数について、FIM認知項目の除外基準が24点以下から14点以下へ見直され、FIM運動20点以下例のうち1日平均6単位超提供例は算出対象に含まれる。また、除外割合上限は30%から20%へ縮小され、実績指数48以上等を要件とする回復期リハビリテーション強化体制加算が設定された。これによりFIM低値例の到達可能性を早期に見極める重要性が高まる。本研究は患者別実績指数相当値を用い、FIM認知15〜24点例およびFIM運動20点以下例の48以上相当到達状況と早期層別化指標を明らかにすることを目的とした。
【方法】
後方視的観察研究とした。対象は2025年1月1日から12月31日に当院回復期病棟へ入棟した374例のうち、必要項目欠測24例を除く350例とした。FIM運動利得に、歩行・車椅子およびトイレ動作が入棟時5点以下から退棟時6点以上へ改善した場合の各1点を加え、補正FIM運動利得とした。これを在棟日数/疾患別算定上限日数で除し、患者別実績指数相当値を探索的に算出した。本指標は公式な病棟単位の実績指数ではない。48以上を到達群、48未満を未到達群とし、FIM認知15〜24点群とFIM運動20点以下群で別個に解析した。重複例は26例であった。
【結果】
FIM認知15〜24点群は75例で、到達38例、未到達37例であった。到達群では初回FIM運動中央値が高く(32.5点 vs 20点)、初回ベッド移乗(4点 vs 2点)、初回トイレ動作(4点 vs 1点)も高値であった。入棟後14日以内のFIM運動上昇速度は到達群で高かった(中央値1.00点/日、四分位範囲0.53–1.58 vs 0.18点/日、0.00–0.34、p<0.001)。追加探索解析では14・17日平均タンパク低充足も初回ベッド移乗で調整後に関連した(OR 0.28、95%CI 0.086–0.84)。FIM運動20点以下群は94例で、到達29例、未到達65例であった。到達群のFIM運動利得中央値は45点、未到達群は5点であった。多変量解析では初回FIM運動で調整後も入棟時下腿周径が関連した(OR 1.19、95%CI 1.03–1.37)。6単位超提供例16例は全例が脳血管で、到達は3例であった。
【結論】
FIM低値例は一括して低反応とみなすべきではなかった。FIM認知15〜24点例では入棟時ADLに加え、入棟後2週以内のFIM改善軌道とタンパク充足状況による再層別化が有用な可能性が示された。FIM運動20点以下例では、残存ADLに加え、下腿周径で示される身体予備能の評価が重要であった。改定下では単位数の一律増加ではなく、到達可能性を早期に見極めた資源配分と退院時期の最適化が求められる。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は匿名化した既存情報を用いた後方視的観察研究であり、所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:R08-08)。