講演情報
[KS1-05]人工股関節全置換術術前の股関節外側軟部組織の組織弾性と術後1か月時の自覚的脚長差との関連
*佐々木 拓馬1、松本 裕司1、為沢 一弘1、高田 ゆい1、團野 翼1、橋本 翔太郎1、渡辺 稜甫1、田巻 達也2 (1. なか整形外科 リハビリテーション科、2. なか整形外科 整形外科)
キーワード:
人工股関節全置換術、自覚的脚長差、組織弾性
【目的】人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)後の自覚的脚長差は患者満足度に影響する要因の一つである。THA術前に測定した股関節外側軟部組織の組織弾性と術後早期の自覚的脚長差との関連が報告されている。しかし、股関節外側軟部組織を構成する各組織の組織弾性と術後早期の自覚的脚長差との関連は明らかではない。本研究の目的は、大腿筋膜張筋(Tensor fasciae latae:TFL)、中臀筋(Gluteus Medius:GM)および腸脛靱帯(Iliotibial Band:ITB)の術前組織弾性と術後1か月時の自覚的脚長差との関連を検討することとした。
【方法】対象は2026年2-5月に当院で変形性股関節症に対して初回片側THAを施行した15例(女性15例、平均年齢63±9.5歳、前方進入法)とした。脚長に影響を及ぼす下肢の骨関節疾患の既往や脊椎変形を有する症例およびデータ欠損例は除外した。股関節正面X線像より患側脚延長量および術後患健側脚長差を算出した。THA術前日に超音波診断装置(Canon社製Aplio i700)のShear Wave Elastography(SWE)機能を用いて、TFL、GM、ITBの組織弾性値を測定した。測定肢位は背臥位股関節屈曲10°、中間位とし、測定部位はTFL・GMを上前腸骨棘から大転子の中点、ITBを大転子遠位部とした。術後1か月時に自覚的脚長差をVisual Analog Scale(VAS)で評価した。また、自覚的脚長差に関連する評価項目として脚長差感が消失するまでの立位足底間距離および股関節内転可動域を測定した。統計解析にはPearsonまたはSpearmanの相関係数を用いて、術前の各組織の組織弾性値、患側脚延長量および術後患健側脚長差と術後1か月時の各評価項目との関連を検討した。 【結果】対象15例の術前組織弾性値はTFL62.9±18.4kPa、GM47.6±22.7kPa、ITB73.8±21.5kPaであった。患側脚延長量は9.4±4.3mm、術後患健側脚長差は5.4±3.9mmであった。術後1か月時の自覚的脚長差VASは14.9±21.5mm、立位足底間距離は11.2±9.3cm、股関節内転可動域は8.4±3.4°であった。ITBの術前組織弾性値は術後1か月時の自覚的脚長差VASと有意な相関を認めた(r=0.59,p=0.02)。さらに、立位足底間距離(r=0.52,p=0.04)および股関節内転可動域(r=−0.56,p=0.03)とも有意な相関を認めた。一方、GMおよびTFLの術前組織弾性値、患側脚延長量および術後患健側脚長差はいずれも術後1か月時の各評価項目と有意な相関を認めなかった。
【結論】TFLおよびGMでは関連を認めなかった一方、ITBの術前組織弾性値は術後1か月時の自覚的脚長差VASと関連した。また患側脚延長量や術後患健側脚長差とも関連を認めなかった。以上より、術後1か月時の自覚的脚長差にはITBの術前組織弾性が関連する可能性が示唆された。 【倫理的配慮、説明と同意】本研究は所属施設倫理審査委員会の承認を得て実施し、対象者には研究内容を説明し同意を得た。
【方法】対象は2026年2-5月に当院で変形性股関節症に対して初回片側THAを施行した15例(女性15例、平均年齢63±9.5歳、前方進入法)とした。脚長に影響を及ぼす下肢の骨関節疾患の既往や脊椎変形を有する症例およびデータ欠損例は除外した。股関節正面X線像より患側脚延長量および術後患健側脚長差を算出した。THA術前日に超音波診断装置(Canon社製Aplio i700)のShear Wave Elastography(SWE)機能を用いて、TFL、GM、ITBの組織弾性値を測定した。測定肢位は背臥位股関節屈曲10°、中間位とし、測定部位はTFL・GMを上前腸骨棘から大転子の中点、ITBを大転子遠位部とした。術後1か月時に自覚的脚長差をVisual Analog Scale(VAS)で評価した。また、自覚的脚長差に関連する評価項目として脚長差感が消失するまでの立位足底間距離および股関節内転可動域を測定した。統計解析にはPearsonまたはSpearmanの相関係数を用いて、術前の各組織の組織弾性値、患側脚延長量および術後患健側脚長差と術後1か月時の各評価項目との関連を検討した。 【結果】対象15例の術前組織弾性値はTFL62.9±18.4kPa、GM47.6±22.7kPa、ITB73.8±21.5kPaであった。患側脚延長量は9.4±4.3mm、術後患健側脚長差は5.4±3.9mmであった。術後1か月時の自覚的脚長差VASは14.9±21.5mm、立位足底間距離は11.2±9.3cm、股関節内転可動域は8.4±3.4°であった。ITBの術前組織弾性値は術後1か月時の自覚的脚長差VASと有意な相関を認めた(r=0.59,p=0.02)。さらに、立位足底間距離(r=0.52,p=0.04)および股関節内転可動域(r=−0.56,p=0.03)とも有意な相関を認めた。一方、GMおよびTFLの術前組織弾性値、患側脚延長量および術後患健側脚長差はいずれも術後1か月時の各評価項目と有意な相関を認めなかった。
【結論】TFLおよびGMでは関連を認めなかった一方、ITBの術前組織弾性値は術後1か月時の自覚的脚長差VASと関連した。また患側脚延長量や術後患健側脚長差とも関連を認めなかった。以上より、術後1か月時の自覚的脚長差にはITBの術前組織弾性が関連する可能性が示唆された。 【倫理的配慮、説明と同意】本研究は所属施設倫理審査委員会の承認を得て実施し、対象者には研究内容を説明し同意を得た。
