講演情報

[JEX1-01]ウィメンズヘルスの研究最前線ー女性の身体を理解し、臨床を支える知を創るー

森野 佐芳梨 (大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科)
<略歴>
2013年 神戸大学 医学部保健学科 理学療法学専攻 卒業
2015年 京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 修士課程 修了
2018年 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 博士後期課程 修了
2018年 大阪府立大学 地域保健学域総合リハビリテーション学類 助教
2022年 大阪公立大学 医学部リハビリテーション学科 講師
<学術研究業績>
・Morino S, et al. History of pain around lumbopelvic region during perinatal period: a prospective cohort study. European Spine Journal, 2024.
・分担執筆:「周産期リハビリテーション」株式会社シービーアール, 2023.
・2024年度 第7回キャタピラーSTEM賞 最優秀賞(一般部門)
・Best presentation, The 8th International Conference on Control, Mechatronics and Automation, 2020.
<関連領域社会活動>
日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学会 理事
ウィメンズヘルス理学療法の分野では、月経随伴症状、妊娠・産後に生じる腰痛や骨盤帯痛、骨盤底機能障害、更年期以降の身体機能変化など、女性のライフステージに応じた多様な健康課題が対象となる。近年、女性の健康に対する社会的関心の高まりとともに、本領域における理学療法士の役割や可能性も認知されつつあり、臨床・研究の両面から様々な取り組みが進められている。
 一方で、ウィメンズヘルス領域における対象者を適切に評価・支援するためには、単に症状や機能障害のみを捉えるのではなく、その背景にある女性特有の身体変化を理解することが重要である。特に妊娠・出産期には、姿勢や運動機能、ホルモン環境、身体組織に加わる力学的負荷の変化など、女性の身体にはライフステージに応じた特徴的な変化が生じる。そのため、一般的な運動器疾患と同様の視点だけでは十分に説明できない症状も存在し、ウィメンズヘルス領域に特化した知識と評価の視点が求められる。
 また、本領域への関心が高まり、様々な場面で女性の健康課題に対するアプローチが広がりつつある一方で、介入を行う際には、その背景にある身体的特徴や病態を理解することが不可欠である。経験的な知識や個々の臨床経験は重要であるが、それらに加えて、客観的・定量的なデータに基づいて身体機能の変化を明らかにし、科学的根拠に基づいた評価・介入へとつなげていくことが求められている。
 近年では、女性特有の症状や身体変化を多角的に評価する研究が進められており、ウィメンズヘルス理学療法の発展に向けた新たな知見が蓄積されつつある。本講演では、ウィメンズヘルス領域における研究の現状や近年の動向について概説するとともに、妊娠・産後女性を対象とした腰痛・骨盤帯痛研究を中心に紹介する。本講演が、女性特有の身体変化を科学的に理解し、臨床・教育・研究活動においてウィメンズヘルス領域をさらに発展させるための一助となれば幸いである。