講演情報
[JP-01]視覚遮断に伴う動的体幹姿勢制御変化の個人特性
ー運動学・筋活動・脳活動指標を用いた探索的検討ー
*永江 帆乃嘉1、佐々木 杏夏2、兒玉 隆之3、宮﨑 純弥3、重藤 隼人3 (1. 西京都病院、2. 京都下鴨病院、3. 京都橘大学健康科学部理学療法学科)
キーワード:
視覚遮断、体幹姿勢制御、個人特性
【はじめに、目的】
感覚戦略は姿勢制御において重要な因子であり、我々は視覚情報の感覚重みづけの変化により体幹の動的姿勢制御が変化することを報告している(Sasaki et al., 2024)。しかし、視覚遮断に伴う運動学的・生理学的指標の変化が相互の関連は明らかでない。本研究では、視覚情報の有無による各指標間の変化に着目し、動的体幹姿勢制御に関わる指標間の関連を探索的に検討した。
【方法】
対象は健常若年者35名とした。視覚あり条件と視覚なし条件を設定し、視覚なし条件ではアイマスクを着用した開眼状態で立位体幹屈曲伸展運動を実施した。運動時に体幹運動、重心動揺(COP)、筋電図(腹直筋、脊柱起立筋)、脳波(Fp1、Fp2、Cz、POz)を同期測定した。角速度に基づき動作相を屈曲相、切り替え相、伸展相に区分し、前後方向のCOP変位ピーク速度の5%をCOP変位開始、COP変位開始から屈曲動作開始までをAPA相と定義した。重心動揺と運動解析では予測的姿勢制御(APA)相での最大COP変位量、屈曲相での最大COP変位量、体幹最大屈曲角度、最大運動角速度を算出した。筋電図および脳波指標はウェーブレット解析により算出した。筋電図では、各動作相での腹直筋、脊柱起立筋の最大筋活動、最大共同収縮指数(CCI)を算出した。脳波ではFp1、Fp2は平均化して前頭部(Fp)の脳波活動の指標とし、α波、β波のパワー値を用いて、各動作相でのFp、Cz、POz領域におけるα/β比を算出した。統計解析では、視覚条件の分類に寄与した上位変数を参考に(Sasaki et al., 2024)、最大体幹屈曲角度、最大前方COP変位、屈曲最大角速度、APA期COP最大変位、腹筋最大活動、背筋最大活動、CCI、POz α/β比、切り替え相POz α/β比、伸展相Fp α/β比の10指標を解析対象とした。各指標の変化量(Δ=閉眼条件ー開眼条件)を算出し、指標間の変化量の関連をSpearman順位相関係数を用いて検討した。
【結果】
ΔAPA期CCIはΔAPA期COP最大変位と正の相関を示し(p=0.42)、視覚なし条件でAPA期最大CCIが増大する対象者ほどAPA期COP変位も増大した。Δ屈曲最大角速度はΔAPA期腹筋最大活動と正の相関を示し(p=0.39)、視覚なし条件で屈曲速度が増大する対象者ほどAPA期腹筋活動も増大した。Δ最大体幹屈曲角度はΔ切り替え相POz α/β比と負の相関を示し(p=-0.35)、視覚なし条件で屈曲角度が低下する対象者ほどPOz α/β比が増大した。また、Δ屈曲最大角速度はΔAPA期背筋最大活動と負の相関を示し(p=-0.35)、視覚なし条件で屈曲速度が低下する対象者ほどAPA期背筋活動が増大した。
【結論】
視覚遮断による動的体幹姿勢制御の変化は、平均的な条件差のみならず、個人内変化量の連動として捉えられる可能性が示された。特に、APA期における筋協調とCOP変位、屈曲速度と体幹筋活動、体幹屈曲速度とPOz脳波活動の関連は、視覚遮断に対する感覚再重みづけ反応の個人差を特徴づける指標となる可能性がある。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は京都橘大学倫理委員会の承認(承認番号:24-09)を得て、対象者に研究の趣旨を説明し、同意を得て実施した。
感覚戦略は姿勢制御において重要な因子であり、我々は視覚情報の感覚重みづけの変化により体幹の動的姿勢制御が変化することを報告している(Sasaki et al., 2024)。しかし、視覚遮断に伴う運動学的・生理学的指標の変化が相互の関連は明らかでない。本研究では、視覚情報の有無による各指標間の変化に着目し、動的体幹姿勢制御に関わる指標間の関連を探索的に検討した。
【方法】
対象は健常若年者35名とした。視覚あり条件と視覚なし条件を設定し、視覚なし条件ではアイマスクを着用した開眼状態で立位体幹屈曲伸展運動を実施した。運動時に体幹運動、重心動揺(COP)、筋電図(腹直筋、脊柱起立筋)、脳波(Fp1、Fp2、Cz、POz)を同期測定した。角速度に基づき動作相を屈曲相、切り替え相、伸展相に区分し、前後方向のCOP変位ピーク速度の5%をCOP変位開始、COP変位開始から屈曲動作開始までをAPA相と定義した。重心動揺と運動解析では予測的姿勢制御(APA)相での最大COP変位量、屈曲相での最大COP変位量、体幹最大屈曲角度、最大運動角速度を算出した。筋電図および脳波指標はウェーブレット解析により算出した。筋電図では、各動作相での腹直筋、脊柱起立筋の最大筋活動、最大共同収縮指数(CCI)を算出した。脳波ではFp1、Fp2は平均化して前頭部(Fp)の脳波活動の指標とし、α波、β波のパワー値を用いて、各動作相でのFp、Cz、POz領域におけるα/β比を算出した。統計解析では、視覚条件の分類に寄与した上位変数を参考に(Sasaki et al., 2024)、最大体幹屈曲角度、最大前方COP変位、屈曲最大角速度、APA期COP最大変位、腹筋最大活動、背筋最大活動、CCI、POz α/β比、切り替え相POz α/β比、伸展相Fp α/β比の10指標を解析対象とした。各指標の変化量(Δ=閉眼条件ー開眼条件)を算出し、指標間の変化量の関連をSpearman順位相関係数を用いて検討した。
【結果】
ΔAPA期CCIはΔAPA期COP最大変位と正の相関を示し(p=0.42)、視覚なし条件でAPA期最大CCIが増大する対象者ほどAPA期COP変位も増大した。Δ屈曲最大角速度はΔAPA期腹筋最大活動と正の相関を示し(p=0.39)、視覚なし条件で屈曲速度が増大する対象者ほどAPA期腹筋活動も増大した。Δ最大体幹屈曲角度はΔ切り替え相POz α/β比と負の相関を示し(p=-0.35)、視覚なし条件で屈曲角度が低下する対象者ほどPOz α/β比が増大した。また、Δ屈曲最大角速度はΔAPA期背筋最大活動と負の相関を示し(p=-0.35)、視覚なし条件で屈曲速度が低下する対象者ほどAPA期背筋活動が増大した。
【結論】
視覚遮断による動的体幹姿勢制御の変化は、平均的な条件差のみならず、個人内変化量の連動として捉えられる可能性が示された。特に、APA期における筋協調とCOP変位、屈曲速度と体幹筋活動、体幹屈曲速度とPOz脳波活動の関連は、視覚遮断に対する感覚再重みづけ反応の個人差を特徴づける指標となる可能性がある。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は京都橘大学倫理委員会の承認(承認番号:24-09)を得て、対象者に研究の趣旨を説明し、同意を得て実施した。
