講演情報

[JP-02]超音波画像を用いた仙腸関節可動性と骨盤圧迫ベルト装着時の股関節筋力・自覚的収縮容易感の変化の関連

*松田 恵大1、齋藤 杏美1、代田 翔梧1、山本 美華1、吉野 友菜1、割出 早稀1、西村 卓朗1、宮地 諒1 (1. 北陸大学)

キーワード:

仙腸関節、超音波、骨盤圧迫ベルト

【はじめに、目的】仙腸関節(SIJ)の過可動性は,疼痛や力の伝達効率の低下に関与し,下肢筋力発揮にも影響する可能性がある.臨床ではSIJの安定性を補助する目的で骨盤圧迫ベルト(PCB)が用いられる.しかし,PCBの効果には個人差があり,SIJ可動性はその差に影響する可能性がある.そこで本研究は,超音波画像(RUSI)により評価したSIJ可動性とPCB装着による股関節筋力および自覚的収縮容易感の変化の関係を明らかにすることを目的とした.
【方法】対象は大学生60名(男性21名,女性39名,年齢20.1±1.0歳)とした.測定条件はPCBの有無の2条件とし,各条件で股関節筋力および自覚的収縮容易感を評価した.PCBは両側上前腸骨棘高位で装着し,装着圧は上前腸骨棘部で測定した骨盤周径の95%となるように調整した.SIJ可動性は,超音波画像診断装置Vscan Air CL(GEヘルスケア)と3–12 MHzのリニアプローブを用いてBモードで撮影し評価した.プローブは腹臥位にて後上腸骨棘高位に短軸で配置した.仙腸関節への負荷は,腸骨を固定した状態で,徒手筋力計(モービィ,酒井医療株式会社)により15 kgfの力となるよう仙骨を腹側へ圧迫した.圧迫前後の画像から仙骨と上後腸骨棘の位置関係の差分を算出し,SIJ可動性と定義した.2回測定の平均値を代表値とした.股関節筋力の指標には股関節屈曲筋力を用いた.股関節屈曲筋力は,端座位にて徒手筋力計を用いて計測した.また,PCB装着による自覚的収縮容易感をvisual analog scale(VAS)により評価した.統計解析は線形混合モデルを用い,従属変数を股関節屈曲筋力および自覚的収縮容易感とした.SIJ可動性はzスコア化したうえで解析に用いた.固定効果はベルト条件,SIJ可動性,性別,ベルト条件×SIJ可動性の交互作用を投入した.さらに線形混合モデルにおいて有意な交互作用が認められた場合,レスポンダー解析としてレスポンダーの有無とSIJ可動性との関連をロジスティック回帰分析により検討した.
【結果】股関節屈曲筋力では,SIJ可動性とPCBの有無の有意な交互作用はみられなかった(p=0.059).自覚的収縮容易感では,ベルト条件の主効果(p=0.037)およびベルト条件×SIJ可動性の交互作用が有意であり(p=0.018),SIJ可動性が高いほどPCB装着時と非装着時の差が大きかった.PCB装着によりVASが10 mm以上改善した対象をレスポンダーと定義したレスポンダー解析では,SIJ可動性はレスポンダーの有無と有意に関連した(OR=1.814,p=0.049).
【結論】PCB装着は,客観的な指標である股関節屈曲筋力には影響を及ぼさないが,SIJ可動性が大きい対象では主観的な指標である収縮容易感を向上させる可能性がある.
【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,被験者に事前に研究の目的,内容,個人情報の取り扱いなどを口頭と文書にて説明し,参加の同意署名を得た上で実施した.本研究は,北陸大学倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:2024-1).