講演情報

[JP-06]静的・動的姿勢制御課題における運動関連ゲーティングの特徴と運動制御指標との関連

*青木 詩葉1、前田 孔太1、若林 勇人1、北村 幸大1、下田 直哉1、宮﨑 純弥1、兒玉 隆之1、重藤 隼人1 (1. 京都橘大学)

キーワード:

静的姿勢制御、動的姿勢制御、運動関連ゲーティング

【はじめに】
姿勢制御では、運動に先行して姿勢の乱れを調整する予測的姿勢調整(anticipatory postural adjustment: APA)と、運動中の感覚入力に応じて姿勢を修正する代償的姿勢調整(compensatory postural adjustment: CPA)が重要であり、その過程には感覚情報の適切な制御が必要である。運動関連ゲーティングは、運動中に不要な体性感覚入力を抑制する機構として知られるが、静的・動的姿勢制御における差異や姿勢安定性との関連は明らかでない。そこで本研究では、静的・動的姿勢制御における運動関連ゲーティングの特徴と運動制御指標との関連を検討した。
【方法】
健常若年者23名を対象とした。静的姿勢制御課題として片脚立位保持課題、動的姿勢制御課題としてLateral Step Down Test(LSDT)を実施した。運動関連ゲーティングを測定するために、安静立位、片脚立位、LSDT時に右下腿へ電気刺激を加え、脳波、筋電図、加速度を測定した。運動関連ゲーティングは刺激誘発事象関連電位N50成分から評価し、運動/安静比をもとにゲーティング指数を算出した。運動制御指標として、右側の中殿筋、大腿筋膜張筋、内腹斜筋/腹横筋の筋活動、骨盤加速度Root Mean Square(RMS)を算出し、APA相とCPA相に分けて解析した。片脚立位・LSDTの姿勢安定性は動画からバランススコアを評価した。統計解析は、ゲーティング指数の課題間比較にWilcoxon符号付順位検定を行い、各課題のバランススコアとの関連をElastic net解析およびゲーティング指数を統制した偏相関分析により検討した。
【結果】
ゲーティング指数の課題間比較では、片脚立位で有意に強いゲーティングを認めた(p=0.012、r=0.55)。Elastic net解析では、片脚立位ではAPA相、CPA相モデルともに骨盤加速度RMSと中殿筋筋活動は高い変数重要度を示した。一方、LSDTではモデル精度が不良であり、明確な重要変数は抽出されなかった。偏相関分析では、ゲーティング指数を統制することにより、片脚立位バランススコアとAPA相およびCPA相の骨盤加速度RMS、CPA相の中殿筋、大腿筋膜張筋筋活動との関連が強まった。
【結論】
本研究の結果から、運動関連ゲーティングは課題特性や運動局面に応じて変化する可能性が示された。特に片脚立位では、運動関連ゲーティングを統制することにより、姿勢安定性と予測的・代償的な随意運動調整との関連の様相が変化した。これらの知見は、運動関連ゲーティングがAPA相からCPA相に至る連続した姿勢制御過程において、姿勢安定性と姿勢動揺、筋活動の関係に対して抑制的な役割を果たす可能性を示唆している。運動関連ゲーティングは個人の感覚情報処理特性を反映する姿勢制御のより個別的な指標として臨床応用できる可能性がある。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は京都橘大学研究倫理委員会の承認(25-65)を得て実施した。対象者には口頭で説明し、書面にて同意を得た。