講演情報
[JP-11]体幹回旋への介入により歩容の改善がみられた左大腿骨転子部骨折術後の一症例
*井高 綾1、桂 大輔1、塩川 拓真1、増井 健二1 (1. 堺若葉会病院)
キーワード:
体幹回旋、大腿骨転子部骨折、股関節伸展可動域
【症例紹介】
80歳代、女性。転倒にて左大腿骨転子部骨折受傷。3日後観血的骨接合術(γ-nail)施行。受傷前は屋内杖なし歩行自立であった。既往歴に左大腿骨遠位部骨折がある。
【評価とリーズニング】
術後翌日に全荷重許可あり理学療法開始。 術後2週のFIMは41点、最大能力は杖なし歩行中等度介助、10m歩行器歩行は34.7秒を要し、左立脚後期の股関節伸展が消失していた。左股関節可動域は屈曲80°伸展0°、体幹可動域は伸展20°回旋左右30°であり、MMTは左股関節伸展2、体幹伸展2であった。 術後4週のFIMは80点、最大能力は杖なし歩行は軽介助、10m歩行器歩行は26.8秒まで改善した。しかし歩行時の左股関節は依然軽度屈曲位であり、左股関節伸展可動域は治療直後に10°まで拡大するが翌日には0°に戻る状態であった。治療再考のため再度姿勢を観察すると、臥位・座位・立位の全てで体幹左回旋位を呈しており、歩行時にも体幹左回旋傾向が認められた。この体幹回旋傾向により重心が後方に残存し左股関節伸展の活動性が阻害され左股関節伸展可動域が維持できていないのではないかと仮説を立て、治療プログラムを再考した。
【介入内容と結果】
術後4週目以降、体幹の柔軟性改善および体幹左回旋傾向の修正を目的とした治療を追加した。具体的には体幹伸展・回旋運動の促通、体幹アライメントを意識した立位・歩行を実施した。結果、術度6週時には左股関節可動域は屈曲100°伸展10°、体幹可動域は伸展35°回旋は右40°左45°となり、MMTは股関節伸展2+、体幹伸展3へ向上した。歩行では左立脚後期に股関節伸展が認められるようになり、10m歩行器歩行は14.9秒まで短縮した。FIMは85点、最大能力は杖歩行見守りまで向上した。その後屋内杖歩行自立を獲得し、術後13週にて自宅退院となった。
【考察】
正常歩行では、胸腰椎と骨盤が対側方向へ回旋することで歩幅の確保や効率的な重心移動が行われる。本症例では全ての姿勢において体幹左回旋位を呈しており、歩行時にも同様の傾向が認められた。介入当初は、左立脚後期に左股関節伸展の不足を体幹左回旋で代償している可能性を考え股関節への局所介入を中心に行ったが、股関節伸展可動域の改善は持続しなかった。体幹左回旋傾向に対する治療を加えた結果、体幹機能の改善と共に股関節伸展可動域、歩行速度、FIMの向上が認められた。また、既往の左大腿骨遠位部骨折の影響などから受傷前より体幹回旋の非対称性を有していた可能性も考えられた。以上より、転倒・骨折後に股関節伸展による推進機能が低下した症例に対しては、罹患された下肢機能のみならず、受傷前からの体幹や骨盤帯アライメント不良にも着目して評価・介入することの重要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
発表にあたり、患者の個人情報保護について説明し、本人と家族から同意の署名を得た。
80歳代、女性。転倒にて左大腿骨転子部骨折受傷。3日後観血的骨接合術(γ-nail)施行。受傷前は屋内杖なし歩行自立であった。既往歴に左大腿骨遠位部骨折がある。
【評価とリーズニング】
術後翌日に全荷重許可あり理学療法開始。 術後2週のFIMは41点、最大能力は杖なし歩行中等度介助、10m歩行器歩行は34.7秒を要し、左立脚後期の股関節伸展が消失していた。左股関節可動域は屈曲80°伸展0°、体幹可動域は伸展20°回旋左右30°であり、MMTは左股関節伸展2、体幹伸展2であった。 術後4週のFIMは80点、最大能力は杖なし歩行は軽介助、10m歩行器歩行は26.8秒まで改善した。しかし歩行時の左股関節は依然軽度屈曲位であり、左股関節伸展可動域は治療直後に10°まで拡大するが翌日には0°に戻る状態であった。治療再考のため再度姿勢を観察すると、臥位・座位・立位の全てで体幹左回旋位を呈しており、歩行時にも体幹左回旋傾向が認められた。この体幹回旋傾向により重心が後方に残存し左股関節伸展の活動性が阻害され左股関節伸展可動域が維持できていないのではないかと仮説を立て、治療プログラムを再考した。
【介入内容と結果】
術後4週目以降、体幹の柔軟性改善および体幹左回旋傾向の修正を目的とした治療を追加した。具体的には体幹伸展・回旋運動の促通、体幹アライメントを意識した立位・歩行を実施した。結果、術度6週時には左股関節可動域は屈曲100°伸展10°、体幹可動域は伸展35°回旋は右40°左45°となり、MMTは股関節伸展2+、体幹伸展3へ向上した。歩行では左立脚後期に股関節伸展が認められるようになり、10m歩行器歩行は14.9秒まで短縮した。FIMは85点、最大能力は杖歩行見守りまで向上した。その後屋内杖歩行自立を獲得し、術後13週にて自宅退院となった。
【考察】
正常歩行では、胸腰椎と骨盤が対側方向へ回旋することで歩幅の確保や効率的な重心移動が行われる。本症例では全ての姿勢において体幹左回旋位を呈しており、歩行時にも同様の傾向が認められた。介入当初は、左立脚後期に左股関節伸展の不足を体幹左回旋で代償している可能性を考え股関節への局所介入を中心に行ったが、股関節伸展可動域の改善は持続しなかった。体幹左回旋傾向に対する治療を加えた結果、体幹機能の改善と共に股関節伸展可動域、歩行速度、FIMの向上が認められた。また、既往の左大腿骨遠位部骨折の影響などから受傷前より体幹回旋の非対称性を有していた可能性も考えられた。以上より、転倒・骨折後に股関節伸展による推進機能が低下した症例に対しては、罹患された下肢機能のみならず、受傷前からの体幹や骨盤帯アライメント不良にも着目して評価・介入することの重要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
発表にあたり、患者の個人情報保護について説明し、本人と家族から同意の署名を得た。
