講演情報

[JP-12]腱板大断裂に対しExtreme Medialized Repair法を施行された一症例
~肩関節外旋可動域に着目して~

*片山 成雅1、等々力 賢輔1、坂野 裕也1、鈴木 隆2 (1. 西京都病院 リハビリテーション部、2. 西京都病院 整形外科)

キーワード:

Arthroscopic Rotator Cuff Repair、Extreme Medialized Repair、肩関節可動域

【症例紹介】
 本症例は、1年前から左肩関節痛が出現し、肩関節可動域制限を認めた60歳代女性で、当院での受診にて左肩腱板大断裂と診断された。その後、Arthroscopic Rotator Cuff Repair (以下ARCR)およびExtreme Medialized Repair法(以下EXM)を施行され、術後翌日より理学療法を開始した。本症例ではEXM施行後の肩関節機能の経過、特に外旋可動域の回復過程を検討した。
【評価とリーズニング】
 術前の左肩関節可動域(自動/他動)は、屈曲140°/150°、外転140°/145°、外旋10°/15°、椎指間距離は殿部であった。疼痛(Numerical Rating Scale)は、安静時2、運動時5、夜間時2であった。運動時痛の誘因動作は、重量物の把持および結帯動作であった。患者立脚型評価であるShoulder36の各ドメイン平均点は、疼痛2.8点、可動域3.1点、筋力2.5点、健康感3.7点、日常生活動作3.3点、スポーツ動作0.5点であった。
【介入内容と結果】
 肩腱板修復術後プロトコールに沿って、術後1週目から肩関節他動運動、8週目から肩関節自動介助運動、9週目から肩関節自動運動を開始した。また、術後3週目で外転枕を除去、9週目でスリングを除去した。肩関節可動域改善のため肩甲上腕リズムの改善や肩甲骨運動の促通、腱板筋の段階的筋力強化を実施した。術後9ヶ月では屈曲・外転可動域はほぼ正常域まで改善した一方、自動外旋30°、他動外旋50°と20°の乖離を認めた。
【考察】
 EXMは上腕骨頭上部を削った内側にアンカーを設置する術式であり、一次修復が困難な大・広範囲腱板断裂や再断裂の危険性がある症例に適応しているとされる。近年では、腱板断裂患者に対しEXMを施行した結果、疼痛や屈曲可動域の臨床成績が良好であったと報告されている。本症例においても術後の疼痛減少、屈曲および外転可動域の改善を認めた。一方、他動外旋は50°まで改善したものの、自動外旋は30°に留まり、乖離を認めた。EXMでは、腱付着部が内側化されることにより、棘上筋、棘下筋のモーメントアームが減少すること、10mm以上の内側化では修復腱の回復遅延が起こり外旋制限に繋がることが報告されている。このことから、本症例における外旋可動域の乖離は、関節包拘縮よりも腱板機能の回復遅延の影響が大きかった可能性が考えられた。以上より、EXMを施行した症例では、自動および他動外旋可動域の乖離を評価し、腱板筋機能の回復を考慮した理学療法を実施することが重要と考えられた。
【倫理的配慮、説明と同意】
 本症例に対し、症例報告をさせていただく旨を説明し同意を得た。