講演情報
[JP-13]大腿骨過前捻と術後アライメント変化に着目し歩行改善を認めた大腿骨顆上骨折の一症例
*奥野 滉太1、桂 大輔1、上田 裕一2、増井 健二1 (1. 堺若葉会病院、2. つじの骨粗鬆症・整形外科クリニック)
キーワード:
姿勢パターン、両大腿骨過前捻、母親の介護
【症例紹介】
本症例は、階段で足を滑らせ転倒し、左大腿骨顆上骨折を受傷した70歳代前半の女性である。90歳代の母親と二人暮らしで、受傷前は母親の介護を担っていた。母親も社会的入院となり、受傷1週後に髄内釘固定術が施行された。
【評価とリーズニング】
術後4週まで完全免荷、術後4週1/3・ 6週1/2・ 8週2/3部分荷重・9週から全荷重開始となった。術後9週の評価では、疼痛はNRS1~2/10であった。ROM-T左膝屈曲100°、MMT左股関節伸展(膝屈曲位)2であった。座位側方リーチ距離(右/左)は21 cm/14 cm、10 m歩行テスト(快適歩行/最大歩行)は13.0秒・26歩/12.0秒・26歩、TUG(右回り/左回り)は19.4秒/19.0秒であった。杖歩行では左立脚期に股関節内旋・内転、軽度膝屈曲位およびKnee-in、体幹左側屈を認め、蹴り出し低下と左歩幅の減少を呈し、患者から「左足が不安定で頼りない」と不安感の訴えも認めた。歩行の荷重応答期にて左大腿四頭筋の収縮遅延が触診で確認された。Craigテストは右25°、左30°であった。Craigテストより受傷前から両側大腿骨過前捻が示唆され、受傷後の左膝不安定性と骨折部の大腿骨内側顆の上方転位(術後10週の画像所見にて確認)が加わることで、左立脚期の左股関節内旋・内転、Knee-in、および荷重不安感が生じていたと考えた。術後12週でROM-T左膝屈曲105°、MMT左股関節伸展(膝屈曲位)3へ改善した。座位側方リーチ距離(右/左)は24 cm/21 cm、10 m歩行テストは11.9秒・23歩/10.5秒・23歩、TUGは11.2秒/12.4秒と改善を認めた。歩行時の左大腿四頭筋の収縮遅延も改善し、左立脚期の不安感は軽減、立脚の安定性が向上した。
【介入内容と結果】
膝関節機能の改善のみならず、受傷前の体幹・股関節を含めた姿勢パターンの再学習を目的とした介入を行った結果、患側立脚期の安定性が向上し、歩行能力の改善を認めた。術後12週には母親の介護動作も可能となり自宅退院に至った。
【考察】
本症例は、両大腿骨過前捻を背景に、股関節内旋・内転に伴う荷重支持機構の低下がKnee-inを呈した。一方、術後は大腿骨内側顆部の上方転位により相対的に膝内反(Knee-out)を呈し、下肢アライメントの変化がさらに荷重時の立脚不安定性を助長していた可能性が考えられた。 大腿骨顆上骨折術後症例においては、局所的な膝関節機能への介入に加え、受傷前から存在する姿勢の個別性を考慮した評価・治療が歩行能力改善に重要である可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
発表にあたり、患者の個人情報とプライバシーの保護に配慮し、本人から同意を口頭及び書面にて同意を得た。
本症例は、階段で足を滑らせ転倒し、左大腿骨顆上骨折を受傷した70歳代前半の女性である。90歳代の母親と二人暮らしで、受傷前は母親の介護を担っていた。母親も社会的入院となり、受傷1週後に髄内釘固定術が施行された。
【評価とリーズニング】
術後4週まで完全免荷、術後4週1/3・ 6週1/2・ 8週2/3部分荷重・9週から全荷重開始となった。術後9週の評価では、疼痛はNRS1~2/10であった。ROM-T左膝屈曲100°、MMT左股関節伸展(膝屈曲位)2であった。座位側方リーチ距離(右/左)は21 cm/14 cm、10 m歩行テスト(快適歩行/最大歩行)は13.0秒・26歩/12.0秒・26歩、TUG(右回り/左回り)は19.4秒/19.0秒であった。杖歩行では左立脚期に股関節内旋・内転、軽度膝屈曲位およびKnee-in、体幹左側屈を認め、蹴り出し低下と左歩幅の減少を呈し、患者から「左足が不安定で頼りない」と不安感の訴えも認めた。歩行の荷重応答期にて左大腿四頭筋の収縮遅延が触診で確認された。Craigテストは右25°、左30°であった。Craigテストより受傷前から両側大腿骨過前捻が示唆され、受傷後の左膝不安定性と骨折部の大腿骨内側顆の上方転位(術後10週の画像所見にて確認)が加わることで、左立脚期の左股関節内旋・内転、Knee-in、および荷重不安感が生じていたと考えた。術後12週でROM-T左膝屈曲105°、MMT左股関節伸展(膝屈曲位)3へ改善した。座位側方リーチ距離(右/左)は24 cm/21 cm、10 m歩行テストは11.9秒・23歩/10.5秒・23歩、TUGは11.2秒/12.4秒と改善を認めた。歩行時の左大腿四頭筋の収縮遅延も改善し、左立脚期の不安感は軽減、立脚の安定性が向上した。
【介入内容と結果】
膝関節機能の改善のみならず、受傷前の体幹・股関節を含めた姿勢パターンの再学習を目的とした介入を行った結果、患側立脚期の安定性が向上し、歩行能力の改善を認めた。術後12週には母親の介護動作も可能となり自宅退院に至った。
【考察】
本症例は、両大腿骨過前捻を背景に、股関節内旋・内転に伴う荷重支持機構の低下がKnee-inを呈した。一方、術後は大腿骨内側顆部の上方転位により相対的に膝内反(Knee-out)を呈し、下肢アライメントの変化がさらに荷重時の立脚不安定性を助長していた可能性が考えられた。 大腿骨顆上骨折術後症例においては、局所的な膝関節機能への介入に加え、受傷前から存在する姿勢の個別性を考慮した評価・治療が歩行能力改善に重要である可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
発表にあたり、患者の個人情報とプライバシーの保護に配慮し、本人から同意を口頭及び書面にて同意を得た。
