講演情報

[KSY2_04]呼吸器疾患における退院を見据えた介入ポイント

西村 喜裕 (京都桂病院 リハビリテーションセンター, 京都橘大学大学院 健康科学研究科)
略歴(主な学歴・職歴)
2018年 京都橘大学 健康科学部 理学療法学科 卒業
2018年 京都桂病院 リハビリテーションセンター 入職
2024年 京都橘大学大学院 健康科学研究科 博士前期課程 入学        
関連資格
3学会合同呼吸療法認定士
 呼吸ケアリハビリテーション学会による、「呼吸リハビリテーションに関するステートメント」では、呼吸器疾患患者に対するリハビリテーションは病態に応じて急性期から終末期までのシームレスな介入が望まれている。呼吸リハビリテーションの対象となる呼吸器疾患は多岐にわたり、肺癌もその一つである。
 肺癌は日本人において罹患数が多く、死亡数は第1位である。肺癌に対する標準治療は組織型やステージ分類などによって外科治療、放射線治療、化学療法が行われる。根治治療が望める肺癌外科手術は、開胸での手術が多く行われていたが、近年は胸腔鏡下手術やロボット支援下手術といった、低侵襲の手術が行われている。肺癌周術期患者に対してのリハビリテーションは術後呼吸器合併症の予防や術前のADLレベルへの早期回復を目標に術前および術後リハビリテーションが行われる。当院では術前からオリジナルのDVDを使用し、周術期リハビリテーションへのイメージや必要性を説明し、患者自身が手術に向けての理解を深められるように術前リハビリテーションを実施している。また、術後は手術当日からのベッドサイドでのリハビリテーションに加え、退院後の運動習慣継続を目標とした術後リハビリテーションを行っている。
 しかし、肺癌外科手術後は全身麻酔や肺切除の影響で身体機能や運動耐容能、Quality of Lifeは低下することが報告されており、当院でも多く経験する。また、手術の低侵襲化により術後の入院期間は短縮傾向であり、退院時の各種アウトカムは十分な回復が得られないまま退院に至っているといった報告もある。
 近年では肺癌外科手術後に病理結果に合わせて、術後補助化学療法(Adjuvant Chemotherapy)を行うことで、術後再発や転移を予防し生命予後を改善することが報告されている。化学療法の実施基準には、Performance Status(PS)が用いられ、PSの維持は重要である。これらから、肺癌周術期のリハビリテーションでは、術後の化学療法実施までを見据えた介入が必要ではないかと考える。
 本講演では、肺癌周術期におけるリハビリテーションについての先行研究の紹介や当院での臨床実践、その課題について議論できればと考える。