講演情報
[JEL4-01]骨頭求心性からみた肩関節障害のバイオメカニクス
甲斐 義浩 (京都橘大学 健康科学部 理学療法学科)

<略歴>
1999年:西日本リハビリテーション学院 卒業
1999年:医療法人社団成蹊会 岡田病院 入職
2002年:医療法人社団日晴会 久恒病院 入職
2005年:医療福祉専門学校緑生館 理学療法学科専任教員
2012年:久留米大学大学院医学研究科博士課程 修了〈博士(医学)〉
2012年:京都橘大学 健康科学部理学療法学科 勤務 現在に至る
<所属学会>
日本肩関節学会,日本肘関節学会,日本体力医学会,日本臨床スポーツ医学会,日本臨床バイオメカニクス学会,日本整形外科スポーツ医学会,日本運動器科学会,日本ヘルスプロモーション理学療法学会(理事), 日本理学療法士協会,
1999年:西日本リハビリテーション学院 卒業
1999年:医療法人社団成蹊会 岡田病院 入職
2002年:医療法人社団日晴会 久恒病院 入職
2005年:医療福祉専門学校緑生館 理学療法学科専任教員
2012年:久留米大学大学院医学研究科博士課程 修了〈博士(医学)〉
2012年:京都橘大学 健康科学部理学療法学科 勤務 現在に至る
<所属学会>
日本肩関節学会,日本肘関節学会,日本体力医学会,日本臨床スポーツ医学会,日本臨床バイオメカニクス学会,日本整形外科スポーツ医学会,日本運動器科学会,日本ヘルスプロモーション理学療法学会(理事), 日本理学療法士協会,
肩関節は人体で最も広い可動域をもつ一方、骨性の支持に乏しく、運動性と安定性という相反する要求を同時に満たさなければならない。その要となるのが骨頭求心性、すなわち運動中も上腕骨頭の中心が関節窩中心に留まる状態である。本講演では、これを肩関節疾患に共通する最も重要な機能障害と位置づけ、その成り立ちと破綻を一貫した視点から論じる。まず着目したいのは、関節窩と骨頭の形態的な適合性である。両者の曲率半径には差があり、構造上は骨頭が動きうるゆとりが存在する。しかし、自ら腕を挙げるとき、骨頭中心は関節窩中心のごく近傍に保たれている。この差こそが、骨頭求心性が能動的に担保されていることの証左である。では、何がそれを担保しているのか。関節窩の凹面は骨性部分だけでなく軟骨と関節唇によって深さを与えられており、そこへ骨頭を押し付ける力が加わることで安定性が生まれる。この力を生み出すのは腱板であり、三角筋が骨頭を上方へ押し上げる作用と対をなして釣り合いを形成する。釣り合いを担ううえで、腱板の各筋が果たす役割は一様ではない。続いて、この機構を破綻させる要因を扱う。要因は大きく二つに分けられる。ひとつは腱板断裂に代表される病態であり、もうひとつは関節周囲組織の緩みや硬さ、腱板機能の低下といった機能障害である。ただし、いずれの要因も、存在すること自体が破綻を意味するわけではない。腱板断裂では、動態を左右するのは断裂の有無ではなく、残存組織による代償が保たれているかである。代償が成立している間、関節動態は正常と大きく変わらない。骨頭を前後から支える力が失われたとき、骨頭は位置を保てなくなり、挙上動作能力そのものが損なわれる。また骨頭求心性の低下は、新たな病態の原因ともなる。動作のたびに関節組織への機械的ストレスが増加し、炎症や変性の進行を招くからである。病態は変えられないが、機能障害には働きかけることができる。骨頭求心性という共通の軸から肩関節障害を捉え直すことは、理学療法における評価と介入の思考を整理するうえで有用と考えられる。
