講演情報

[KOSY2_01]教育現場で理学療法士に何が求められるか-認定スクールトレーナー制度の趣旨と期待する役割-

森原 徹 (丸太町リハビリテーションクリニック)
略歴(主な学歴・職歴)
1993年3月 京都府立医科大学医学部 卒業
2019年4月 丸太町リハビリテーションクリニック 院長
2021年4月―現在 京都府立医大大学院 整形外科 臨床教授 客員講師
2023年4月― 運動器の健康日本協会 学校保健委員会 委員長(スクールトレーナー)
資格 
日本スポーツ整形外科 代議員 
日本スポーツ協会 認定スポーツドクター
日本肩関節学会 代議員
 学校保健安全法に基づく児童生徒等の健康診断には,「脊柱,胸郭,四肢」の検査が項目として位置づけられている.しかし,検診によって把握された課題を日常の指導や予防につなげる専門職は,学校の中に十分に配置されていない.公益財団法人運動器の健康・日本協会は,この空白を埋める人材として,2024年より「認定スクールトレーナー」事業を開始した.
 本制度は,運動器医療の高度な学術的知識と臨床技法を有する専門家である理学療法士が,学校長,学校医・養護教諭及び地区の整形外科医・医師会等と緊密な連携の下に学校保健の現場に参画し,児童生徒等の運動器の健康推進と健全な心身の成長・発達に寄与することを目的とする.公益目的事業であることを第一とし,営利を目的としない.
 認定スクールトレーナーは「チーム学校」の一員であり,学校保健活動の一翼を担う立場に置かれる.そこで求められるのは,第一に,学校で行われる運動指導や体操に医学的・科学的根拠を与えることである.第二に,学校医や整形外科医との連携のもとで,二次検診を要する児童生徒を適切な受診機会へつなぐことである.
 一方,学校は医療機関とは異なる場である。協会は行動規範を定め,指導内容については事前に学校長および学校医の確認を得ること,所属長へ通知し了承を得ること,知り得た個人情報を守秘すること,保護者と直接連絡を取ったり児童生徒と個人的に接したりしないよう努めることを強く求めている。また,運動器医療に関する相談を受ける際には,利益誘導とみなされないよう留意しなければならない。これらは活動を制限するものではなく,理学療法士が学校という場で活動するための拠り所である。
 京都府では既に複数の認定スクールトレーナーが学校現場での実践を重ねつつある.本講演では制度の理念と枠組みを整理し,教育現場において理学療法士が担いうる役割について考えたい.