講演情報
[KP_13]退院後の股関節機能低下がHip-knee-spine syndromeを介して膝OA悪化を招いた症例
*竹下 威風1、村松 永陽1,2、山口 祐太郎1 (1. 脳神経リハビリ北大路病院、2. 藤田医科大学)
キーワード:
大腿骨転子部骨折、Hip-knee-spine syndrome、退院後フォローアップ
【症例紹介】
本症例は、X日に自宅前で転倒し右大腿骨転子部骨折を受傷した80代女性である。X+1日に観血的骨固定術(γネイル術)が施行され、X+10日に当院へ転院した。入院中の理学療法は順調に進み、独歩での自立歩行を獲得しX+74病日(Y日)に自宅退院した。しかしY+3日の外来初回ではT-caneを使用し来院した。歩行開始時の荷重時痛、術創部癒着による股関節外転可動域低下が認められた。外来経過中にはHip–knee–spine syndrome(HKS)の影響により既往の膝OAが悪化し、右膝内側痛と腫脹が出現したため股関節外転・外旋筋へのアプローチを行い症状改善が得られたため、外来リハビリの重要性と併せて報告する。
【評価とリーズニング】
入院時評価では、MMT患側股関節外転2、10ⅿ歩行(馬蹄型歩行器)24.4秒/29歩、BBS 37点であった。術創部痛は軽度残存し、歩行時は患側立脚期の短縮が認められた。退院時評価では、MMT患側股関節外転4、10ⅿ歩行(独歩)7.4秒/17歩、BBS 56点と改善し、屋外2㎞程独歩も可能であった。Y+3日の外来初回ではT-caneとなり、Y+44日で右膝内側痛と腫脹が出現、Y+54日には腫脹がさらに増悪し、Kellgren-Lawrence分類2と診断された。右膝OA悪化の要因として、退院後の生活負荷により股関節外転・外旋筋力が再低下し、内転筋群の過緊張が増大した結果、既往の膝OA悪化を助長したと推察した。
【介入内容と結果】
入院中は、術創部癒着予防、内転筋群の筋緊張低下、殿筋群・大腿筋膜張筋の強化、屋外歩行による筋持久力向上を目的に介入した。自主練習としてエルゴメーター、除重力位での股関節外転運動を主に指導した。退院後は自宅生活の聴取を行い、生活負荷増大を確認した。自宅生活では股関節外転・外旋筋の活動不足と内転筋群の過緊張が助長され、術創部癒着によるスパズムも加わっていたため、自主練習を再構築し、内転筋群の過緊張抑制と股関節外転・外旋筋の再教育を行った。その結果、膝関節内側への内反ストレスが軽減した。Y+54日には関節腔内注射による消炎鎮痛効果と併せて理学療法による力学的要因の解決が図られたことで、以後は水腫の再発を認めず、 膝内側痛の改善を得た。
【考察】
入院中は毎日の介入により股関節周囲筋の機能が維持されていたが、自宅生活では股関節外転・外旋筋の活動が低下、柔軟性低下や術創部癒着の影響も加わり、膝関節への内反ストレスが増大したと考えられる。本症例は退院後の生活負荷の偏りにより短期間で機能低下が生じ得る可能性が示唆された。特にHKSの観点では、膝関節痛の背景に股関節機能低下が関与することを示し、退院後早期からのフォローアップにより動作指導や股関節機能の継続的評価・介入を行う重要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
理学療法介入内容については事前に説明し同意を得た。また、本症例報告についても説明を行い、患者本人より同意を得た。
本症例は、X日に自宅前で転倒し右大腿骨転子部骨折を受傷した80代女性である。X+1日に観血的骨固定術(γネイル術)が施行され、X+10日に当院へ転院した。入院中の理学療法は順調に進み、独歩での自立歩行を獲得しX+74病日(Y日)に自宅退院した。しかしY+3日の外来初回ではT-caneを使用し来院した。歩行開始時の荷重時痛、術創部癒着による股関節外転可動域低下が認められた。外来経過中にはHip–knee–spine syndrome(HKS)の影響により既往の膝OAが悪化し、右膝内側痛と腫脹が出現したため股関節外転・外旋筋へのアプローチを行い症状改善が得られたため、外来リハビリの重要性と併せて報告する。
【評価とリーズニング】
入院時評価では、MMT患側股関節外転2、10ⅿ歩行(馬蹄型歩行器)24.4秒/29歩、BBS 37点であった。術創部痛は軽度残存し、歩行時は患側立脚期の短縮が認められた。退院時評価では、MMT患側股関節外転4、10ⅿ歩行(独歩)7.4秒/17歩、BBS 56点と改善し、屋外2㎞程独歩も可能であった。Y+3日の外来初回ではT-caneとなり、Y+44日で右膝内側痛と腫脹が出現、Y+54日には腫脹がさらに増悪し、Kellgren-Lawrence分類2と診断された。右膝OA悪化の要因として、退院後の生活負荷により股関節外転・外旋筋力が再低下し、内転筋群の過緊張が増大した結果、既往の膝OA悪化を助長したと推察した。
【介入内容と結果】
入院中は、術創部癒着予防、内転筋群の筋緊張低下、殿筋群・大腿筋膜張筋の強化、屋外歩行による筋持久力向上を目的に介入した。自主練習としてエルゴメーター、除重力位での股関節外転運動を主に指導した。退院後は自宅生活の聴取を行い、生活負荷増大を確認した。自宅生活では股関節外転・外旋筋の活動不足と内転筋群の過緊張が助長され、術創部癒着によるスパズムも加わっていたため、自主練習を再構築し、内転筋群の過緊張抑制と股関節外転・外旋筋の再教育を行った。その結果、膝関節内側への内反ストレスが軽減した。Y+54日には関節腔内注射による消炎鎮痛効果と併せて理学療法による力学的要因の解決が図られたことで、以後は水腫の再発を認めず、 膝内側痛の改善を得た。
【考察】
入院中は毎日の介入により股関節周囲筋の機能が維持されていたが、自宅生活では股関節外転・外旋筋の活動が低下、柔軟性低下や術創部癒着の影響も加わり、膝関節への内反ストレスが増大したと考えられる。本症例は退院後の生活負荷の偏りにより短期間で機能低下が生じ得る可能性が示唆された。特にHKSの観点では、膝関節痛の背景に股関節機能低下が関与することを示し、退院後早期からのフォローアップにより動作指導や股関節機能の継続的評価・介入を行う重要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
理学療法介入内容については事前に説明し同意を得た。また、本症例報告についても説明を行い、患者本人より同意を得た。
