講演情報
[KP_21]尾状核出血後に重度運動麻痺及び体幹・四肢失調を呈した症例に対する長下肢装具を用いた介入の一例
*渋谷 樹希1、新明 俊英1 (1. 学研都市病院)
キーワード:
尾状核出血、長下肢装具(KAFO)、失調
【はじめに】尾状核出血は脳室内穿破を伴うことで、重度運動麻痺に加え、体幹・四肢失調や意識障害を呈し、歩行再建が困難となることがある。本症例は覚醒レベルの変動と認知機能低下により、口頭指示を主体とした運動学習が困難であった。そこで、長下肢装具(以下、KAFO)を用いて立脚終期を含む適切な歩行パターンの反復練習を実施し、良好な経過を得たため報告する。
【症例提示・病態分析】症例は70歳代女性。尾状核出血、脳室内穿破、脳梗塞、遷延性意識障害を認めた。初期評価はGCS E3VTM6、FIM運動13点・認知24点であった。右上下肢に重度運動麻痺(FMA下肢8点、上肢4点)、非麻痺側下肢筋力低下、右膝伸展−20°、右足関節背屈−10°の関節可動域制限を認めた。FACT2点、SARA26点で、坐位保持は著しく不安定であり、立位・歩行はいずれも全介助であった。また、保続(Fist-Edge-Palm1点)を認め、口頭指示による動作修正は困難であった。歩行では立脚終期(Terminal Stance:TSt)が消失し、前方推進力が得られないことから、異常歩行パターンの固定化および廃用の進行が懸念された。
【介入】口頭指示による運動学習が困難であったため、KAFOを用いて立脚期の支持性を確保し、介助下で立脚終期を含む適切な歩行パターンの反復練習を実施した。介助者は骨盤・体幹を誘導し、立脚終期の再現を図りながら歩行練習を行った。
【結果】介入後、覚醒レベルは安定し、FACTおよびSARAは改善した。座位・立位保持能力が向上し、失調症状は坐位・立位・歩行項目を中心に軽減した。歩行能力は全介助から見守り歩行まで改善し、関節可動域制限および非麻痺側下肢筋力にも改善を認めた。【考察】本症例では、脳室内穿破に伴う覚醒レベルの変動や認知機能低下に加え、重度の体幹・四肢失調を認めたため、口頭指示を主体とした運動学習は困難であった。一方、KAFOにより立脚期の支持性を確保したことで、安全に立脚終期を含む適切な歩行パターンを反復できた。その結果、歩行に必要な運動経験を繰り返し得られたことが、姿勢制御および歩行パターンの再構築につながり、体幹機能や失調症状の改善、見守り歩行の獲得に寄与した可能性がある。以上より、KAFOを用いた立脚終期を含む歩行パターンの反復練習は、脳室内穿破に伴う認知機能低下や重度失調により口頭指示での運動学習が困難な症例に対する有用な介入手段となる可能性が示唆された。
【倫理的配慮】対象者に本報告の趣旨を十分説明し、文書による同意を得た。本報告はヘルシンキ宣言に則り、個人情報の保護に十分配慮して実施した。
【症例提示・病態分析】症例は70歳代女性。尾状核出血、脳室内穿破、脳梗塞、遷延性意識障害を認めた。初期評価はGCS E3VTM6、FIM運動13点・認知24点であった。右上下肢に重度運動麻痺(FMA下肢8点、上肢4点)、非麻痺側下肢筋力低下、右膝伸展−20°、右足関節背屈−10°の関節可動域制限を認めた。FACT2点、SARA26点で、坐位保持は著しく不安定であり、立位・歩行はいずれも全介助であった。また、保続(Fist-Edge-Palm1点)を認め、口頭指示による動作修正は困難であった。歩行では立脚終期(Terminal Stance:TSt)が消失し、前方推進力が得られないことから、異常歩行パターンの固定化および廃用の進行が懸念された。
【介入】口頭指示による運動学習が困難であったため、KAFOを用いて立脚期の支持性を確保し、介助下で立脚終期を含む適切な歩行パターンの反復練習を実施した。介助者は骨盤・体幹を誘導し、立脚終期の再現を図りながら歩行練習を行った。
【結果】介入後、覚醒レベルは安定し、FACTおよびSARAは改善した。座位・立位保持能力が向上し、失調症状は坐位・立位・歩行項目を中心に軽減した。歩行能力は全介助から見守り歩行まで改善し、関節可動域制限および非麻痺側下肢筋力にも改善を認めた。【考察】本症例では、脳室内穿破に伴う覚醒レベルの変動や認知機能低下に加え、重度の体幹・四肢失調を認めたため、口頭指示を主体とした運動学習は困難であった。一方、KAFOにより立脚期の支持性を確保したことで、安全に立脚終期を含む適切な歩行パターンを反復できた。その結果、歩行に必要な運動経験を繰り返し得られたことが、姿勢制御および歩行パターンの再構築につながり、体幹機能や失調症状の改善、見守り歩行の獲得に寄与した可能性がある。以上より、KAFOを用いた立脚終期を含む歩行パターンの反復練習は、脳室内穿破に伴う認知機能低下や重度失調により口頭指示での運動学習が困難な症例に対する有用な介入手段となる可能性が示唆された。
【倫理的配慮】対象者に本報告の趣旨を十分説明し、文書による同意を得た。本報告はヘルシンキ宣言に則り、個人情報の保護に十分配慮して実施した。
