講演情報

[JEL3-01]前庭機能からひも解くめまい・ふらつき~前庭リハビリテーションという新たな視点~

塩崎 智之 (奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科)
<略歴>
【学歴】
2007年 鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業
2016年 畿央大学大学院健康科学専攻修士課程修了
2023年 奈良県立医科大学医学研究科博士課程修了
【職歴】
2007年  戸畑リハビリテーション病院 リハビリテーション科入職
2014年 西大和リハビリテーション病院 リハビリテーション科入職
2017年 奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科教室 助教
2023年 奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科教室 講師
【関連資格】
専門理学療法士(神経)
日本めまい平衡医学会専門会員
【学術研究業績】
Shiozaki T, Ito T, Wada Y, Yamanaka T, Kitahara T. Effects of Vestibular Rehabilitation on Physical Activity and Subjective Dizziness in Patients With Chronic Peripheral Vestibular Disorders: A Six-Month Randomized Trial. Front Neurol. 2021;12:656157.
Shiozaki T, Sakagami M, Okayasu T, Imai T, Kitahara T. Effects of vestibular rehabilitation in patients with residual dizziness after treatment for benign paroxysmal positional vertigo. Acta Otolaryngol. 2025:1-6.
第29回日本耳科学会総会・学術集会 はじめての耳科学会賞優秀演題
第19回日本神経理学療法学会学術集会 最優秀演題賞
【関連領域社会活動】
日本前庭理学療法学会 理事長
日本神経理学療法学会 理事
奈良県理学療法士協会 理事
日本めまい平衡医学会 代議員
前庭神経炎やめまいを伴う突発性難聴などで末梢前庭の機能低下が起こると急性期では回転性のめまいが出現する。この回転性めまいは中枢神経系による前庭代償が進行し数週間で改善する。しかし、半規管麻痺・耳石器機能低下により浮動性のめまい・ふらつきが長期間残存する症例が一定数存在する。この前庭代償不全という病態に対する有効な治療法として前庭リハビリテーションがある。日本めまい平衡医学会が策定した「前庭リハビリテーションガイドライン2024年版」では片側前庭機能障害、両側前庭機能障害に対する前庭リハビリテーションが強く推奨されている。また、そのガイドラインでは理学療法士等のリハビリテーション専門職の介入を強く推奨している。しかし、前庭リハビリテーションを実施したことがあるという理学療法士は限られているというのが現実である。
 今回の聴講者は日常臨床において主病名として末梢前庭障害の患者を担当することがない方がほとんどだと考えられる。しかし、めまい・ふらつきを訴える患者に遭遇する機会は少なくないのではないか。本教育講演では前庭の解剖生理などの基礎的な部分から実際の臨床場面での評価や介入方法・メカニズムについて説明する。末梢前庭障害患者でみられる前庭機能の低下が動作にどのように影響し、どのような介入によって改善がみられるかを知ることで患者が訴えるめまい・ふらつきの病態をひも解く材料にしてもらいたい。前庭機能は加齢、外傷、中枢神経疾患やめまい発作の既往など様々な理由で低下することが知られている。ふらつきを訴える患者の原因を前庭機能という観点から病態解釈することで新たなリハビリテーションの戦略を生む可能性がある。特殊な機器がない環境でも行える検査方法や一般的な前庭リハビリテーションの介入方法を提示し、すぐにでも臨床応用が可能な内容をお伝えする。本教育講演がきっかけで臨床場面での評価・介入方法の幅が広がることや耳鼻科での前庭リハビリテーションに興味を持っていただける方が増えることを期待する。