講演情報

[KEL1]在宅で役立つフィジカルアセスメント-安全な生活を守るための着眼点-

坂野 裕也 (西京都病院 リハビリテーション部)
略歴(主な学歴・職歴)
2007年3月 畿央大学健康科学部理学療法学科卒業
2021年3月 畿央大学大学院健康科学研究科(修士課程)修了
2025年3月 京都橘大学大学院健康科学研究科(博士後期課程)修了
2025年3月 医療法人京都翔医会西京都病院リハビリテーション部(科長)
2025年4月 京都橘大学(客員研究員),藍野大学(臨床教授)
関連資格
認定理学療法士(地域理学療法)
京都府糖尿病療養指導士
介護支援専門員
福祉用具プランナー
福祉住環境コーディネーター2級.他
学術研究業績(主な論文・表彰・著書など)
<主な論文>
坂野 裕也, 村田 伸, 中野 英樹:歩行補助具が必要となる要介護高齢者の身体的特徴:2年間の縦断研究.日本老年医学会雑誌.2025, 62(2): 233-240. 他
<表彰>
坂野裕也,村田伸,中野英樹:要介護高齢者の握力と身体機能との関連-歩行補助具使用の有無に着目した検討-.健康支援.2024,26 (2): 101-108.優秀論文賞受賞.他
関連領域社会活動(学会理事など)
一般社団法人京都府理学療法士会職能部副部長
京都市介護認定審査会委員
京都府介護・福祉サービス第三者評価委員
通いの場「Hot ! ふれあいサロン "すみれ" 」(企画・運営)
臨床実習指導者講習会世話人.他
 2000年に介護保険制度が導入されて以降,我が国のリハビリテーションを取り巻く環境は大きく変化してきた.2005年頃からは介護予防が重視され,2012年頃には地域包括ケアシステムが提唱され,現在は地域共生社会の実現に向けた取り組みが進められている.このような社会の変化に伴い,我々理学療法士に求められる役割も,病気や障害に対する機能回復に加え,要介護状態の予防や地域での生活継続を支援することへと広がっている.そのため,訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション,介護予防事業など,医療機関以外においても活躍する場が年々増加している.
 医療機関は病気の治療を目的としているため,各種検査機器や医療設備が整備されており,多職種との連携も比較的迅速に行うことができる.一方,在宅は生活の場であり,医療資源が限られるだけでなく,訪問時には理学療法士が単独で対応する場面も少なくない.そのため,利用者のわずかな変化や違和感を見逃さず,必要に応じて医療機関や他職種へ迅速につなげる判断力が求められる.また,状況によっては応急処置や救急要請を要する場面もあり,日頃から的確な観察力とリスク管理能力を身につけておくことが重要である.
 そこで本講演では,在宅で役立つフィジカルアセスメントについて考える.フィジカルアセスメントとは,身体能力や生活状況など様々な情報を統合し,対象者の身体状態を総合的に判断することであり,そのためには問診や観察,評価など(フィジカルイグザミネーション)が重要となる.在宅では,脳血管疾患,呼吸器疾患,循環器疾患など,多様な疾患や病態を有する利用者に対応する必要があるため,幅広い知識とリスク管理能力が求められる.さらに,身体機能のみならず,生活環境や生活行為を含めて対象者を捉える視点が,安全な在宅生活を継続する上で重要となる.
 本講演では,養成校で学んだ基礎的なフィジカルイグザミネーションを振り返りながら,在宅で見逃してはならない着眼点や,私自身の訪問リハビリテーションでの経験を交えて解説する.また,在宅という限られた環境でも実施可能な身体機能のスクリーニング評価について紹介し,日々の臨床業務の中で実践できる評価の工夫についても提案したい.本講演が,在宅理学療法に従事して間もない方や,これから在宅分野に携わる方にとって,安全な生活を支えるためのフィジカルアセスメントを実践する一助となれば幸いである.