講演情報

[JEX2-01]腰部痛に対する徒手理学療法の実践ー多面的介入の検討についてー

堀口 達也 (医療法人整形外科なかむらクリニック & Medical Fitness LaFIT
マッスルコンディショニング エムシーラボ)
<略歴>
2018年 サラゴサ大学大学院 (スペイン) 徒手理学療法 修士 修了
2018年 サラゴサ大学大学院 (スペイン) 徒手理学療法 修士課程 
     コースアシスタント
2022年 医療法人 整形外科なかむらクリニック & Medical Fitness LaFIT
     統括部長
2024年 マッスルコンディショニング エムシーラボ 代表
<学術研究業績>
腰部機能障害に対する理学療法の標準化 エビデンスに基づいた背部機能障害に対する理学療法の実践,運動器理学療法学,2022.
腰部脊柱管狭窄症における疼痛・歩行障害に対する理学療法の効果―システマティック・レビューとメタアナリシス―(共著),徒手理学療法,2023.
<関連領域社会活動>
(一社)日本理学療法学会連合 日本筋骨格系徒手理学療法研究会 理事
非特異的腰痛は、現時点ではその病態を確実に特定できない症状と定義されている。この痛みを伴う筋骨格系の問題は、高い有病率と再発率を特徴とし、生涯有病率は84%と推定されている。また、患者の約55%は生涯において少なくとも10回の症状再発を経験する。障害調整生命年(DALY)の観点から見ると、腰痛は先進国および途上国を問わず、障害生存年数(YLD)の最大の原因となっている。さらに、過去10年間において、腰痛患者が自己申告する障害の程度は改善していないとされる。
 腰痛に対して膨大な研究が日々行われているものの、特定の介入方法により有意となる決定的なエビデンスは、臨床試験から得られていない。その理由として、多様な背景を有する腰痛患者に対し、単一の介入方法が適用されていることが考えられる。こうした患者の多様性と、試験に参加可能な患者の条件を広く設定せざるを得ない事情とが相まって、全体の治療効果が薄れる傾向にあった。したがって、治療効果を最適化するためには、腰痛患者をサブグループに分類し、それぞれの特性に応じた特定の治療方法を割り当てる必要があると考えられ、Treatment Based Classification systemが作成された。本システムは1995年以降、限界への対処と強みの維持を図りつつ、研究の進展を取り入れる形で改定が重ねられてきた。その過程の中で、腰痛は心理的・生物学的・社会的・環境的要因が相互に関与して発症し、その結果として身体機能・身体構造の障害、活動制限、さらには社会参加の制約が生じうることが示された。さらに、これらの発症および機能障害の様相は、個人因子や環境因子の影響を受ける。このような多面的な理解は、世界保健機関(WHO)の国際生活機能分類(ICF)によく反映されている。
 ICFは健康の様々な側面(生物学的・個人的・社会的側面)を包括的に捉える生物心理社会モデルとしてのフレームワークを備えており、腰痛のリハビリテーション管理をより適切に導くための包括的なフレームワークの基盤となり得ると考えられた。以上のような経緯のもと、Treatment Based Classification systemから新たにPain and Disability Drivers Management modelが作成された。
 本発表では、腰痛に対するClassification systemであるPain and Disability Drivers Management modelについて、その理論的枠組みの理解を共有するとともに、私達が臨床においてより的確なケアを提供するための一助となる可能性について情報共有したいと考える。