講演情報

[I-OR04-02]乳児期ファロー四徴症に対する経皮的肺動脈弁形成術の至適時期の検討

小林 優1, 長友 雄作1, 松岡 良平1, 寺師 英子1, 平田 悠一郎1, 山村 健一郎1, 城尾 邦彦2, 安藤 勇介2, 塩瀬 明2, 大賀 正一1 (1.九州大学病院 小児科, 2.九州大学病院 心臓血管外科)
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キーワード:

ファロー四徴症、BVP、乳児期

【背景】ファロー四徴症(TOF)に対して乳児期シャント手術回避のための経皮的肺動脈弁形成術(BVP)の有効性が報告される。一方、弁下狭窄が重度の場合はBVPの効果は乏しく、BVPの至適時期について明確な指標はない。【目的・方法】2021-24年に当施設でBVPを試みた新生児TOF 10例を対象とし、シャント手術が回避できた7例をEffective群、回避できなかった3例をIneffective群とした。両群間で臨床データや手技内容、BVPまでの経過を比較し、BVPの至適時期を検討した。【結果】Effective群vs Ineffective群で、在胎週数(38 vs 37週)及び出生体重(3.1 vs 2.6kg)に差はなかった。出生時SpO2は95 vs 95%、BVP施行は日齢18 vs 16、施行前SpO2(安静時) 91 vs 90%、酸素投与4/7 vs 3/3、β遮断薬投与5/7 vs 3/3、で差はなかったが、BVP前のSpell発症は0/7 vs 3/3 (p=0.01)で、Effective群は全例がSpell未発症だった。P弁輪径(5.2 vs 5.8mm)は両群共に小さく(62 vs 65%正常対)、重度の漏斗部狭窄の比率に差はなかった(57 vs 67%)。また、漏斗部中隔の長さ(9.1vs 9.3mm)及び漏斗部内腔径の心周期変化に差はなかった。手技は十分なSpell対策下に行い、使用バルーンは弁拡張用7/7 vs 2/3、バルーンサイズは対P弁輪径128% vs 126%であった。BVPに伴う合併症はなく、両群ともにBVPを行った全ての症例でSpO2は上昇(98% vs 96%)し、Effective群では10(7-23)日後に退院した。Effective群2/7で退院後に再度SpO2低下を認め、退院33(21-44)日後に2nd BVPを行った。一方Ineffective群ではBVP後入院中にSpO2が再度低下及びSpellを認めシャント手術が行われた。【結語】患者背景や右室流出路形態に関わらず、Spell未発症例ではBVPによりシャント手術を回避することができた。有効なBVPを行うためには、新生児期~乳児早期の弁下狭窄進行期を注意深く観察し、治療タイミングを図ることが重要である