講演情報
[I-OR05-04]高肺血管抵抗を伴うフォンタン術後症例の臨床像 ~JACPHRデータより~
○石田 秀和1, 石井 卓2, 内田 敬子3, 細川 奨4, 高月 晋一5, 住友 直文6, 福島 裕之7, 小垣 滋豊8, 山岸 敬幸9, 土井 庄三郎10 (1.大阪大学大学院医学系研究科 小児科学, 2.東京科学大学 小児科, 3.東京医科大学 細胞生理学, 4.武蔵野赤十字病院 小児科, 5.東邦大学医療センター大森病院 小児科, 6.慶應義塾大学医学部 小児科, 7.東京歯科大学市川総合病院 小児科, 8.大阪急性期・総合医療センター 小児科・新生児科, 9.東京都立小児医療総合センター, 10.東京医療保健大学)
キーワード:
JACPHR、フォンタン、肺高血圧
【背景】
高肺血管抵抗を伴うFontan術後症例の臨床的特徴や肺血管拡張薬の有効性については、未だ不明な点が多い。実臨床においてFontan術後患者に肺血管拡張薬はしばしば用いられるものの、どのような患者群にどの種類の薬剤を選択するべきか?等の臨床的疑問は解決されていない。今回、先天性心疾患を伴う肺高血圧症例の多施設共同症例登録研究(JACPHR)から、わが国のリアルワールドデータ解析を行った。
【方法と結果】
2021年8月から2024年12月までにJACPHRに登録された447例のうち、登録時にFontan術が完了している94例を対象とした。左室型単心室57例、右室型36例。カテーテル検査で高肺血管抵抗と診断された年齢中央値は3.9歳(Interquartile range, IQR: 2.9-12.3)、Glenn術実施年齢1.0歳(IQR: 0.59-1.5)、Fontan術実施年齢2.7歳(IQR: 2.1-4.0)、診断時mPAPは14mmHg (IQR: 12-16)、Transpulmonary Pressure Gradient (TPG)は7mmHg (IQR: 7-8)、PVRIは3.1 WU・m2 (IQR: 2.4-3.8)であった。投与薬剤は3剤併用が7例(7%)、2剤併用が26例(28%)、単剤が35例(37%)、投薬無しが26例(28%)で、ERAが52例(55%)、PDE5Iが48例(51%)、PGI2が8例(9%)で投与されていた。
肺血管拡張薬開始・追加の前後カテデータが登録されているものが25例あった。無投薬や治療変更なし群と比較して治療開始・追加群では、mPAP、TPG、CI、PVRIの変化量において有意差を認めなかった。
【結語】
今後、JACPHRにおける継続的なフォローアップデータの登録により、高肺血管抵抗を有するFontan術後患者の臨床的特徴と肺血管拡張薬の有効性が詳細に解析できると考える。
高肺血管抵抗を伴うFontan術後症例の臨床的特徴や肺血管拡張薬の有効性については、未だ不明な点が多い。実臨床においてFontan術後患者に肺血管拡張薬はしばしば用いられるものの、どのような患者群にどの種類の薬剤を選択するべきか?等の臨床的疑問は解決されていない。今回、先天性心疾患を伴う肺高血圧症例の多施設共同症例登録研究(JACPHR)から、わが国のリアルワールドデータ解析を行った。
【方法と結果】
2021年8月から2024年12月までにJACPHRに登録された447例のうち、登録時にFontan術が完了している94例を対象とした。左室型単心室57例、右室型36例。カテーテル検査で高肺血管抵抗と診断された年齢中央値は3.9歳(Interquartile range, IQR: 2.9-12.3)、Glenn術実施年齢1.0歳(IQR: 0.59-1.5)、Fontan術実施年齢2.7歳(IQR: 2.1-4.0)、診断時mPAPは14mmHg (IQR: 12-16)、Transpulmonary Pressure Gradient (TPG)は7mmHg (IQR: 7-8)、PVRIは3.1 WU・m2 (IQR: 2.4-3.8)であった。投与薬剤は3剤併用が7例(7%)、2剤併用が26例(28%)、単剤が35例(37%)、投薬無しが26例(28%)で、ERAが52例(55%)、PDE5Iが48例(51%)、PGI2が8例(9%)で投与されていた。
肺血管拡張薬開始・追加の前後カテデータが登録されているものが25例あった。無投薬や治療変更なし群と比較して治療開始・追加群では、mPAP、TPG、CI、PVRIの変化量において有意差を認めなかった。
【結語】
今後、JACPHRにおける継続的なフォローアップデータの登録により、高肺血管抵抗を有するFontan術後患者の臨床的特徴と肺血管拡張薬の有効性が詳細に解析できると考える。