講演情報

[I-OR06-04]Subclavian flap 法術後の遠隔期成績と大動脈の画像的変化の検討

玉井 夢果1, 浅田 聡1, 益海 英樹2, 西 孝輔2, 今岡 のり2, 丸谷 怜2, 稲村 昇2 (1.近畿大学医学部 心臓血管外科学教室, 2.近畿大学医学部 小児科学教室)
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キーワード:

大動脈縮窄症、Subclavian flap 法、re-coarctation

【背景】大動脈縮窄症の手術は動脈管組織の切除+吻合が基本だが、subclavian flap(SCF)法は動脈管組織が残存する術式であり、再狭窄の懸念がある。【目的】SCF法後の遠隔期成績と大動脈弓形態を評価する。【方法】当院1998年から2014年の大動脈縮窄症に対する手術62例中SCF 法7例を対象とした。左鎖骨下動脈以遠の狭窄病変に適応した。年齢、体重中央値20.0日 (IQR 12.5-53.5)、3.3kg (2.5-3.8)。合併心奇形はVSD 5例、DORV 2例、AS 1例。右側大動脈弓や単心室なし。全例管前型狭窄。画像評価は直近の血管造影検査(術後期間中央値5.6年, 4.8-15.7)で1)腕頭動脈中枢、2)左鎖骨下動脈末梢、3)最峡部、4)下行大動脈径を計測した。【結果】追跡期間中央値16.7 年 (10.7-17.6)。先行手術なし。PA banding 4例で併施。左側開胸、人工心肺非使用で大動脈遮断時間平均43.8±11.9分。Long segmentで狭窄した2例は、縮窄部を部分切除しSCFで拡大した後に端々吻合した。術後早期・遠隔期死亡例なし。再介入回避率は1/10/15年で100/85.7/85.7%。血管造影検査で20mmHg以上の圧較差を認めたのは1例 (14%)のみで、long segment病変に対して修正法を行った症例だった。術後5.6年でバルーン血管形成術を行った。外科的再介入を要した症例はなかった。一方エコー検査では最峡部で2.2±0.4m/sの流速を認め、狭窄有無の確認のため平均3.6±1.7回血管造影検査を施行した。術後大動脈弓形態について、最峡部/下行大動脈比は中央値0.760 (0.65-0.86)。体表面積補正値[mm/√m2]中央値は1) 16.2、2) 11.4、3) 8.8、4) 14.1と歪な形態を示した。術後最峡部は術前縮窄部でなくflap先端部に一致していた。【考察】SCF法術後大動脈弓は峡部のある歪な形態となるが、遠隔期も外科的再介入を要する症例はなかった。【結論】SCF法は術後大動脈弓形態の歪みを有しエコー検査で流速上昇を認める傾向にあるが、遠隔期成績は比較的良好である。