講演情報

[I-OR07-03]Fontan手術後患者の発達予後 ~3-6-9歳の縦断的評価~

小野 晋1, 柳 貞光1, 尾方 綾2, 加藤 昭生1, 池川 健1, 若宮 卓也1, 上田 秀明1 (1.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 2.神奈川県立こども医療センター 臨床心理科)
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キーワード:

Fontan、発達、QOL

【背景】Fontan手術の成績は大きく改善し、多くの患者が成人期に達している。術後患者の発達予後はQOLに関わる重要な因子の一つである。【方法】神奈川県立こども医療センターでフォローアップしているFontan手術後患者のうち、2013年以降に3歳で新版K式発達検査を行った152名、6歳、9歳でWISC-4知能検査を行った107名、60名を対象とした。1:全体像の提示、2:9歳時WISC-4知能検査に影響を与える因子をロジスティック回帰分析を用いて抽出、3:3歳時発達指数と9歳時知能指数の相関関係の評価を行った。2のリスク因子としては低出生体重児、総手術回数、初回on-pump手術日齢、総on-pump手術回数、Glenn手術月齢、Fontan手術月齢、術後CVP、BNPを挙げた。p<0.05を統計的有意とした。【結果】1:3歳時新版K式発達検査の結果は正常41%、境界40%、遅滞19%で、6歳時WISC-4知能検査の結果は正常65%、境界29%、遅滞6%、9歳時WISC-4知能検査の結果は正常62%、境界23%、遅滞15%であった。なお、3、6、9歳と縦断的にフォローアップできた42症例に限ると3歳では正常43%、境界53%、遅滞24%、6歳では64%、33%、3%、9歳では69%、21%、10%と発達は経年的にキャッチアップしていた(p=0.026)。2:9歳時WISC-4知能検査で正常に寄与する因子として少ないon-pump手術回数、低Fontan手術時月齢 (p = 0.02, 0.04)が抽出された。3:3歳時新版K式発達指数は9歳時WISC-4知能指数に有意に相関した(r=0.71、p<0.0001)。下位項目のうち認知適応-発達指数(r=0.67,p<0.0001)、言語社会-発達指数(r=0.64, p<0.0001)は相関したが、姿勢運動-発達指数は相関しなかった。【結論】Fontan術後患者の発達は経年的にキャッチアップする。また、3歳時の発達検査は9歳時の発達の状態を予想し、ハイリスク症例を抽出することにおいて有用である。