講演情報

[I-OR07-05]小児期フォンタン患者における握力測定の意義

東 浩二, 前田 佳真, 佐藤 要, 矢野 瑞貴, 西畑 綾夏, 石井 徹子, 中島 弘道, 青墳 裕之 (千葉県こども病院 循環器内科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

フォンタン、握力、筋力

【背景】握力は全身筋量や運動耐容能と関連があることは広く知られており、成人先天性心疾患領域では予後予測のバイオマーカーになりうるとの報告がある。フォンタン患者での報告も散見されるものの成人患者を対象とした検討であり、小児では不明である。【目的】小児期フォンタン患者における握力と全身筋量・運動耐容能ならびにフォンタン術後合併症の発生との関連を明らかにする。【方法】2019年7月から2025年1月に検査入院したフォンタン患者40例(中央値12.3歳、女児11例)を対象とした後方視的単施設観察研究。握力は両手の最大握力を2回ずつ測定、最大値を握力値として採用、令和4年度政府統計の体力・運動能力調査での性別・年齢別の正常値を基に検討した。全身筋量はDual X-ray AbsorptiometryにてSkeletal Muscle Index(SMI)を算出、運動耐容能はCPXにてPeak VO2を測定し、握力との関連を検討した。また、握力値が60%N以上(N=28)と60%N未満(N=12)に分類し、フォンタン術後合併症(蛋白漏出性胃腸症・不整脈・肺動静脈瘻・血栓塞栓症)の有無を検討した。【結果】握力値は17.8±8.9kg(74.4±23.2%N)だった。Peak VO2は26.9±5.5ml/kg/min(81.8±25.5%N)、SMIは5.3±1.0(88.3±13.0%N)であり、Peak VO2(R=0.46, p=0.04)、SMI(R=0.62、p<0.01)ともに握力と有意な正の相関を認めた。フォンタン術後合併症を認めた症例は40例中6例(15%)、6例全例が握力60%N未満であり、うち1例は死亡した。【結語】握力測定は小児期フォンタン患者の全身筋量や運動耐容能を簡便に推定できる検査である。また、フォンタン術後合併症の発生や予後の予測に有用な検査となる可能性が示唆された。