講演情報
[I-P03-2-05]初期治療前に冠動脈病変を合併した川崎病における治療反応性と冠動脈予後
○池田 和幸, 喜多 優介, 井上 聡, 河井 容子, 梶山 葉 (京都府立医科大学 小児科)
キーワード:
川崎病、初診時CAL、リスクスコア
【背景】急性期治療前に冠動脈病変(CAL)を有する川崎病症例はおよそ4~5%存在する。近年、「初診時CAL」 Zmax≧2.5の症例に「IVIG + IFX」あるいは「IVIG + PSL」を投与し冠動脈の退縮率が高率だったとの報告があり、初診時CAL例への初期治療強化が注目されている。【方法】当科にて2014年1月から2025年2月に治療を担当した川崎病症例50例を対象として、治療前CALの頻度、治療反応性、冠動脈予後について後方視的に検討した。【結果】対象50例の内訳は、男女比 34:16 、年齢中央値2歳6か月(range 7か月~6歳11か月)、治療前CAL4例(8%)、冠動脈後遺症 21例(42%)(小瘤5、中等瘤10、巨大瘤6)であった。治療前CAL(+)群(A群 4例)、治療前CAL(-)群(B群 46例)の比較では、群馬スコア(中央値)がA群 6.5(range 4~8)、B群 3.0 (0~9)であり、A群で高い傾向を示した(p=0.076)。初期治療開始病日(中央値)はA群 5.5、B群 5.0と有意差はなかった(p=0.37)。初診時冠動脈z score(中央値)はA群 2.93、B群 1.44であり、冠動脈後遺症z score(発症1か月時 中央値)は、A群 12.5、B群 1.69であり、初診時、発症1か月時ともにA群において有意に高値だった(p=0.0012, 0.0069)。3rd line治療到達例はA群 3例(75%)、B群 18例(41%)であり、A群において治療難渋例が多い傾向にあり、巨大瘤はA群 3例(75%)、B群 3例(6.5%)であり、A群での冠動脈予後は極めて不良であった(p=0.012)。A群の巨大瘤症例では、3例中2例でPSLが2nd line以降で使用されており、初期強化療法の検証は行えていない。【結論】2019年にSon MBFらは、CAL後遺症の独立した予測因子として初診時冠動脈径 Zmaxの有用性(Z max≧2.0)を報告しており、今回はA群全例で基準を満たしていた。群馬スコア4点で巨大瘤を形成した症例も含まれており、初診時CALも含めた新規リスクスコア開発の必要性が想起された。