講演情報
[I-PD1-5]統合を要するMAPCAを伴うPA/VSDおよびhemi-truncusの段階的治療について
○湯浅 絵理佳1, 長岡 孝太1, 戸田 紘一1, 鍋嶋 泰典1, 小島 拓朗1, 葭葉 茂樹1, 小林 俊樹1, 細田 隆介2, 平野 暁教2, 帆足 孝也2, 鈴木 孝明2 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)
キーワード:
MAPCA、UF、PA/VSD
【背景と目的】統合(UF)を要する主要体肺動脈側副血行(MAPCA)を伴う, 心室中隔欠損を有する肺動脈閉鎖症(PA/VSD)または半総動脈幹症(hemi-truncus)に対し, 乳幼児期の正中切開による一期的完全UF(条件によりVSD完全閉鎖)は限られた施設で行われ, 当院含む多くの施設では未だカテーテル治療併用での集学的段階的治療が一般的である. 今回その治療成績を検討.【対象と方法】1994年以降に外科治療した, UFを要するMAPCAを伴うPA/VSD(n=10)とhemi-truncus(n=2)の計12例を対象とした単施設後方視研究. 男女比は5:7, 22q11.2欠失症候群は5例. 中心肺動脈(cPA)形態からabsent(n=2), diminutive(≦2mm, n=3), sizable(>2mm, n=5), unilateral(hemi-truncus, n=2)に分類. 治療戦略はcPAにより決定(absent:UF/primary CUF, diminutive:shunt等でcPA発育させCUF, sizable:primary CUF, unilateral: PAB後CUF), VSD閉鎖はUFと同時実施せず. UF完遂からVSD閉鎖の肺血流源は体肺動脈短絡(SPS)か右室肺動脈(RV-PA)導管を選択. カテーテル治療は全体で計40回, うち2例に肺動脈ステント留置. 診療録及び手術・カテーテル記録から1)生存率, 2)VSD閉鎖状況, および3)VSD閉鎖術中右室/大動脈収縮期圧比(=RV/AoP)とその影響を検討. 【結果】初回手術後の追跡期間中央値は13.2年[四分位範囲:2.3-16.5年]. 1)生存率は10年で83.3%. 手術死亡無し, 遠隔死亡2例. 2) 11例がVSD閉鎖に到達, 1例が待機中. 3) VSD閉鎖術中RV/AoP比の中央値は0.57[0.51-0.76]. 遠隔死亡2例を含む5例で0.7以上. cPAの発育状態はRV/AoP比に影響せず. RV-PA導管例(n=5)はSPS例(n=6)に対しRV/AoPは低い傾向(0.54 vs 0.72, p = 0.058). 【まとめ】1. カテーテル治療併用の集学的段階的治療により, 待機中1例を除き全例がVSD閉鎖に到達. 2. 肺血流源としてのRV-PA導管は血流量の調節とUF後PAへのカテーテル治療を容易にし, RV/AoP比の低減に関与する可能性がある.