講演情報
[I-PSY2-3]マウスを用いた基礎研究からアプローチする小児期からの肺高血圧症の病態解明
○内田 敬子 (東京医科大学 細胞生理学分野)
キーワード:
肺高血圧症、マウス、基礎研究
肺高血圧症(pulmonary hypertension, PH)は平均肺動脈圧の上昇で定義される難治性疾患である。病理組織上、肺血管の収縮、肺動脈壁の肥厚、肺細動脈の筋性化、毛細血管の希薄化、血管内血栓形成、叢状病変(血管リモデリング)などの肺血管の特徴があり、血管リモデリングが進行すると不可逆性となる。演者は、5群から成るPHの臨床分類の中で、小児期からの肺高血圧症として特に着目すべき、第1群の特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)/遺伝子肺動脈性肺高血圧症(HPAH)ならびに先天性心疾患に伴うPH(CHD-PH)、第3群の呼吸器疾患による肺高血圧症のうち肺の発育障害によるPHを対象として、PHの基礎研究に携わってきた。肺動脈平滑筋特異的に発現する細胞内カルシウム放出チャネルである2型IP3受容体の欠損によるPHの増悪機構、気道としての肺発生・発育と肺血管内皮の成熟の両者に機能するTBX4の機能低下によるPHの発症機構、22q11.2欠失症候群モデルマウスの肺動脈の可視化による肺動脈発生の検討を中心に、マウスを用いた基礎研究を紹介し、既報のPHマウスモデルも合わせてレビューする。