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[II-JS-2]FALDのフォローアップ基準

小木曽 智美 (東京女子医科大学 消化器内科)
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キーワード:

Fontan-associated liver disease (FALD)、肝癌、フォローアップ

Fontan術後では、経年的に肝線維化の進行や肝癌の合併が認められることがあり、早期診断のために定期的な肝線維化の評価や肝癌のサーベイランスが重要となる。現在、フォローアップの明確な基準は確立されていないが、FALD(Fontan-associated liver disease)の合併症は術後10年以降に増加することから、10年を基準としたフォローアップ方法を提案する。術後10年未満では、1-2年に1回の心臓の定期経過観察時に肝胆道系酵素(AFPを含む)や血算などの血液検査を実施し、心不全以外の異常値の持続やAFPの上昇が認められなければ、通常の経過観察を継続する。一方で、異常が認められた場合には、小児または成人の肝臓内科医へのコンサルテーションを行う。術後10年以降では、3-6カ月に1回の血液検査を実施し、γ-GTP、総ビリルビン、AST・ALT、アルブミン、血小板数、AFP、MELD-XI(Model for End-stage Liver Disease eXcluding International normalized ratio)≧10、その他の肝疾患の進行が疑われる所見(肝線維化マーカーの上昇など)を評価する。また、飲酒、薬物性、ウイルス性、脂肪性、自己免疫性などの他の肝疾患の合併を鑑別する必要がある。血小板の低下、アルブミンの減少、肝線維化マーカーの上昇は肝硬変への進行を示唆する所見である。さらに、術後10年以降ではFALDの合併症が増加するため、検査値の異常の有無にかかわらず、一度は腹部超音波、CT/MRIなどの画像検査を実施することが望ましい。評価が困難な場合は、小児または成人の肝臓内科医へのコンサルテーションを考慮する。肝臓内科医への受診が困難な場合は、自施設で他の肝疾患の鑑別と肝臓の画像検査を行い、その後6カ月に1回の画像評価を継続する。異常が認められた場合には、小児または成人の肝臓内科医と連携し、適切なフォローアップ体制を構築することが望まれる。