講演情報
[II-JS-4]Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)はフォンタン関連肝臓病と予後を強力に関連する
○大内 秀雄, 森 有希, 加藤 愛章, 藤本 一途, 白石 公, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター)
キーワード:
フォンタン、M2BPGi、FALD
【背景】Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)は一般の慢性肝臓疾患の線維化マーカーとして有用だが、フォンタン循環患者の肝臓病病態や予後との関連は不明である。【目的】フォンタン循環患者での血中M2BPGi 測定の臨床的意義を明らかにする。【方法】フォンタン循環患者の血行動態を評価した連続416例(23±10歳)を対象とした。心血行動態と肝臓指標に加え、血中脳性ナトリウムペプチド(BNP:pg/mL)、運動耐容能(Peak VO2)と比較し、また、経過観察中の総死亡との関連を検討した。【結果】M2BPGiは血行動態では中心静脈圧、心係数、肝臓線維化指標(Fib-4指標)およびCRPと独立に正相関し、血中血色素、動脈酸素飽和度および血中アルブミンと独立に負関連した(p<0.05-0.0001)。肝臓関連指標では生成能(血中アルブミン、コリンエステラーゼ)、鬱血(総ビリルビン)および線維化(Fib-4指標)と独立に関連した。経過観察中63例が予定外入院し12例が死亡した。上昇したBNP、M2BPGi、低いPeak VO2は予定外入院リスクと総死亡の高いリスクと関連した(p<0.0001)。M2BPGi の予定外入院と総死亡予測のカットオフ値は各々0.85と1.00であった。M2BPGi≧0.85以上の患者の予定外入院リスクはその他の患者に比べ8.3倍高く(p<0.0001)、死亡した症例は全例がM2BPGi≧1.00以上の患者で(p<0.0001)、その総死亡予測の感度と得意度は各々100%と95%であった。【結論】フォンタン患者の血中M2BPGi は肝臓の線維化のみならず血行動態を反映し、更に、総死亡を含めた予後予測に極めて有用である。FALD評価の項目に加えるべき優れた指標である。