講演情報

[II-OR21-07]川崎病冠動脈狭窄性病変に対する冠動脈バイパス手術 (CABG)全国調査の推移

津田 悦子1, 北川 哲也2, 三谷 義英3, 本村 昇4, 北村 惣一郎5 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 2.公立学校共済組合四国中央病院 心臓血管外科, 3.三重大学大学院医学系研究科 小児科, 4.東邦大学医療センター佐倉病院 心臓血管外科, 5.国立循環器病研究センター 心臓血管外科)
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キーワード:

川崎病、冠動脈バイパス手術、冠動脈障害

(背景)川崎病報告から50年以上が経過し、疾患の啓蒙、1990年代からの大量免疫グロブリン治療の導入により、冠動脈後遺症は20%台から2%以下に減少した。重症の冠動脈狭窄性病変に対して冠動脈バイパス手術 (CABG)が必要となる。小児期からの冠動脈障害は、経年的に進行し、加齢による冠動脈危険因子が加わることにより動脈硬化が進展する。(目的) 半世紀が経過し、CABG全国調査の推移について検討した。(方法)過去の全国調査(2004)とNational Clinical Databaseからの抽出による2008-2019年の全国調(2024)と比較した。(結果)2004年と2024年の全国調査の比較を示す。対象年代は、1975-2002と 2008-2019対象患者数・施設数は、 244,54と 343,161、男性患者数は、155 (77%) と264 (77%)、患者年齢中央値(範囲)11歳 (1-44)、 39 歳(2-86)、20歳未満の患者数は、 212 (87%)と 39 (11%)、心筋梗塞既往は、70(28%) と 64 (19%、オフポンプ手術は、 4 (2%)と 147 (43%)、平均グラフト数は、1.8と2.3、術後遠隔期アンケート回収率は、59%と 53%、死亡は、15 (6%) と 10 (5%)、 再CABG数 は、 14 (6%)と 15 (8%)、術後カテーテル治療は、 5 (2%)と11 (5%)であった。(まとめ)CABG対象年齢は小児期から若年成人に移行した。今後さらに対象年齢が上昇することが予想される。一方、冠動脈障害発症率の激減による小児期CABG対象患者の減少により、小児期の川崎病による冠動脈障害の管理に対する知識の継承とともに、冠動脈障害患者のレジストリーによる症例の蓄積から、患者の生涯予後を明らかにすることが望まれる。