講演情報
[II-OR23-03]新生児期・乳児早期に尾崎手術を行なった総動脈幹症の治療成績
○永瀬 晴啓, 原田 雄章, 松田 健作, 鳥羽 修平, 鹿子島 成充, 中野 俊秀 (福岡こども病院 心臓血管外科)
キーワード:
総動脈幹症、尾崎手術、新生児・乳児早期
【題】新生児期・乳児早期に尾崎手術を行なった総動脈幹症の治療成績【背景】尾崎手術(OP)は自己心膜による大動脈弁再建法であるが、小児例の成績は明らかではない。今回総動脈幹症(TA)で弁逆流兼狭窄を有し、OPを行なった症例につき検討した。【対象と方法】2016年6月から2024年11月までにTAに対して新生児期・乳児早期にOPを行なった症例6例を対象とした。疾患の内訳はTA(A2)が3例、TA(A4)+IAA(B)が3例であった。【結果】全例に両側PABを行い、両側PAB実施時年齢は7日[4-10]だった。初回OP時日齢は142.5日[14-222]、2例(33%)が新生児であった。1例のみ1弁OPを行ったが、術後10日目に血栓弁を来し弁置換となった。他5例は3弁で置換した。初回OP前のエコーデータではTrV径15mm[9-18],Vmax 2.3m/s[1.2-3.9],TrVR 3度[2-4]であり、初回OP術後53日[28-76]に実施したエコーではTrV径12.7mm[8.4-15.6],Vmax 1.2m/s[0.9-1.6],TrVR 0.5度[0-1](p<0.05)と有意に改善を認めた。術後早期死亡はなく、1例を術後遠隔期に非心臓死で失った。2例に2度目のOPを行い、初回から2度目OPまでの期間は256.5日[238-275]、2度目OPから直近または弁置換までの期間は1284.5日[868-1701]と2度目以後の再介入までの期間は1度目よりも長い傾向にあった。弁置換を行なった症例は2例であり、16-17mmの機械弁を使用した。初回OPから弁置換までの期間は855.5日[10-1701]、弁置換時年齢は2.79歳[0.6-4.9]であった。3例は初回OPから再介入していないが、術後から817[47-1788]日で大動脈弁位の流速が1.81 [1.74-2.41] m/s、圧較差が13.1[12.1-23.2] mmHg、AR1.5 [0.5-1.5]度と徐々に狭窄・逆流の所見が出始めている。【結語】TAに対して、6例にOPを行なった。2度目のOP以後は再介入までの期間が長い傾向にあり、数回のOPを繰り返しながら成長を待ち、弁置換とする方針が妥当であると考えられた。