講演情報
[II-OR25-03]機械学習による心房中隔欠損カテーテル閉鎖手技のリスク予測
○大橋 啓之1, 杉谷 侑亮2, 原田 智哉1, 武岡 真美1, 淀谷 典子1, 澤田 博文1, 山崎 誉斗3, 鳥羽 修平3, 中山 祐樹3, 三谷 義英1 (1.三重大学大学院医学系研究科 小児科学, 2.三重大学 みえの未来図共創機構地域共創展開センター, 3.三重大学大学院医学系研究科 胸部心臓血管外科学)
キーワード:
ASDカテーテル閉鎖、機械学習、データベース解析
【背景】心房中隔欠損閉鎖術(T-ASD)において、経食道心エコーによる正確な評価と適切なデバイス選択は重要であり、誤った評価や不適切なデバイス選択は有害事象のリスクを高める。【目的】T-ASDにおける有害事象の発生を予測するために、機械学習の適用可能性を検討する。【方法】2010年から2023年にかけて当院でT-ASDを施行した132例の症例を対象とし、有害事象は、房室ブロック、輸血を要する出血、追加セッションでの閉鎖と定義した。予測モデルには機械学習アルゴリズムであるXGBoost Classifier(XGBC)を使用し、比較として従来の多変量ロジスティック回帰(MLR)を用いた。データは訓練データと検証データに4:1でランダム分割し、5分割クロスバリデーションを実施した。モデル評価に検証データで得られた感度、正確度、F1スコアの5回分平均値を使用。XGBCではnested CVとOptunaによるF1スコア最大化のパラメータチューニングを行った。予測因子として、MLRではbald AOの有無、ASD平均径(長径と短径の平均)、デバイス径/BSAを使用した。XGBCでは、施行時期(2010-15年対2016-23年)、ASD長径/BSA、ASD短径/BSAを加えた6項目を使用した。XGBCによる予測因子の重要度評価には、全データを用いてSHAP値解析を実施した。【結果】対象患者の年齢中央値は16歳、有害事象は8例(6%)であった。MLRでは、ASD平均径のみ有害事象と関連していた(p<0.05)。MLRとXGBCの比較では、感度0.70(±0.27)対0.80(±0.24)、正確度0.95(±0.03)対0.96(±0.04)、F1 0.66(±0.20)対0.71(±0.25)であり、XGBCが優れた予測性能を示した。SHAP値解析により、ASD平均径(>19.1mm)が最も強い因子として同定され、次いでASD長径/BSA(>17.3mm/m2)、デバイス径/BSA(>18.3mm/m2)、ASD短径/BSA(10.4-13.6mm/m2)であった。bald AOの有無および施行時期の影響は弱かった。【結語】機械学習は従来法と比べ、有害事象の予測精度を向上させる可能性がある。